医学部50周年
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沿革特色臨床研究スタッフ外来入院関連病院1979年(昭和54年)8月、富山医科薬科大学附属病院に和漢診療室が院内処置として設置され、同年10月、当時の国立大学では初めての漢方診療を専門とする外来が開設された。1983年(昭和58年)4月、和漢診療部と名称変更し、1985年(昭和60年)5月、文部省から附属病院中央診療施設として正式に認可された。2004年(平成16年)1月、和漢診療科と名称変更し、2005年(平成17年)10月、大学の再編・統合に伴い、富山大学附属病院和漢診療科となり、現在に至っている。最大の特色は、富山医科薬科大学の建学の理念である「東西医学の融合」に基づき、西洋医学と東洋医学の融合診療を実践していることである。医療用漢方製剤の他、生薬を用いた本格的な漢方治療を行っている。必要に応じて現代医学的な検査や治療も行い、院内の他の診療科とも連携をはかり診療にあたっている。和漢診療を求めて来院する患者は、治療法の確立していない疾患、西洋医学的治療効果が十分でない疾患、副作用や多臓器疾患などで治療が困難な疾患などである。消化器疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、リウマチ・膠原病、神経疾患、糖尿病などの内科疾患の他、皮膚科疾患、婦人科疾患、耳鼻咽喉科疾患、疼痛性疾患など様々な領域の疾患を対象としている。特にがん患者の支持療法に力を入れている。また冷え性や虚弱体質、不定愁訴など、西洋医学ではあまり治療の対象とならない患者も多く受診する。代表的な臨床研究として、漢方方剤・桂枝茯苓丸の微小循環改善作用、血液レオロジー因子改善作用、血管内皮機能保護作用などに関する研究がある。また、認知症に対する漢方薬の有効性について報告している。さらに漢方医学的な診断を客観的に評価する臨床研究に取り組んでいる。2024年(令和6年)現在のスタッフは、医学部和漢診療学講座、附属病院和漢診療科、和漢医薬学総合研究所漢方診断学分野所属の医師から構成され、教授2名、准教授1名、助教2名、病院特別助教1名、医員2名である。これらの医師の指導医・専門医・認定医の取得状況は、日本東洋医学会指導医3名、日本東洋医学会漢方専門医5名、日本内科学会指導医1名、日本内科学会総合内科専門医4名、日本肝臓病学会専門医1名、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医1名、日本神経学会神経内科専門医・指導医1名、日本病院総合診療学会認定医・指導医1名、日本産科婦人科学会専門医1名である。現在、外来診療は1日3~4人の担当医が、週に延べ15診で診療にあたっている。近年の外来患者数は1日約35~45人である。木曜日には光学医療診療部で上部消化管内視鏡検査も行っている。最大の特徴は煎じ薬を用いて入院診療を行うことが出来る点にある。これは全国的に見ても非常に数少ない特徴である。より適切な処方を選択するために入院加療が必要と判断される場合には積極的に入院を勧めている。入院診療では、現在、当科には3床が割り当てられている。入院の主な目的は、西洋医学的によい治療法がまだ十分確立していない疾患など外来診療で治療効果が十分にあがっていない場合などである。関連病院に関しては、富山県内では、富山県立中央病院内科和漢・リウマチ科、あさひ総合病院内科などで当科出身者が常勤医師として勤務している。黒部市民病院、砺波総合病院などに非常勤医師を派遣し和漢診療にあたっている。県外の主な関連病院は、福島県立医科大学会津医療センター(福島)、麻生飯塚病院(福岡県)、諏訪中央病院(長野県)、亀田総合病院(千葉県)などであり、全国各地の病院・クリニックで当科出身の医師が和漢診療を実践している。(貝沼茂三郎)131第2章 医学部・附属病院 和漢診療科

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