表 病理検体件数(院外検体含む)組織診細胞診7,4524,5067,1394,1957,1654,0737,9504,1258,1054,1527,8774,4797,5754,5768,0464,6257,9704,8587,8864,631剖検26305043453321423634病理診断科・病理部は、附属病院で採取された検体の病理組織標本および細胞診標本の作製、ならびに病理診断業務を担っています。附属病院設置後に病理業務が開始され、2002年には正式に病理部が設置されました。初代部長には第一病理学(現病理診断学講座)の高野康雄教授が就任しました。2005年からは第二病理学(現病態・病理学講座)の笹原正清教授、2012年からは病理診断学講座の井村穣二教授が病理部長を務めました。2014年には病理診断科が標榜科として認められたことを契機に、病理部病理診断科に改称しました。2022年5月には、平林健一が病理診断学講座の教授に着任し、同時に病理部部長に就任しました。2023年4月には、診療科としての病理診断科と中央診療施設としての病理部に名称分離され、平林が病理診断科科長を兼任することになりました。また、2023年4月には新設された病理部臨床検査技師長に済生会富山病院より田近洋介が初代技師長として着任しました。2024年7月現在、病理診断科・病理部は以下のスタッフによって支えられています。病理医として、平林健一、南坂尚、高木康司、市原有美(病理診断学講座)、奥野のり子(病態・病理学講座)、一萬田正二郎(法医学講座)が病理診断に携わっています。このうち、5名が病理専門医、3名が細胞診専門医、1名が分子病理専門医の資格を有しています。臨床検査技師はこれまでの5名から8名に増員され、田近洋介(技師長)、折田恵(主任)、池田和人、橋本亜紀子、萩原愛弓、小原勇貴、吉田侑生、藤岡眞理が業務にあたっています。また、事務補佐員として淺野理沙が在籍し、標本整理や事務作業に従事しています。臨床検査技師のうち、6名が細胞検査士、4名が認定病理検査技師の資格を有しています。技師の増員に伴い、病理医が主に行っていた業務を技師に移管するタスクシフトが進められています。病理組織検体数はここ10年は7,000件台/年、細胞診は4,000件台/年で推移しています(表)。近年では、病理組織を用いたコンパニオン診断やがんゲノムプロファイリング検査の件数が増加し、病理診断科・病理部スタッフと臨床医が協力して診断から治療までを支えています。剖検については、引き続き両病理学講座が担当しています。免疫組織化学は、これまで両病理学講座で用手法で染色されていましたが、2022年5月に自動免疫染色装置(VENTANABenchMarkULTRA,RocheDiagnostics)が病理部に導入されました。これにより、迅速で安定した免疫組織化学染色が機械により行われ、対応するコンパニオン診断が病理部内で行えるようになりました。2023年にはバーチャルスライドスキャナ(NanoZoomerS20MD,浜松ホトニクス)が設置され、カンファレンスや研究活動に活用されています。今後は、液状化細胞診検体作製装置の導入も予定されており、病理診断業務のさらなる効率化と充実を図っています。病理診断業務以外では、富山の地元企業である株式会社三晶MECと共同でホルマリンに暴露されない画期的な病理検体瓶を開発・発売(2024年)し、作業環境の改善に寄与しました。病理部は2026年には現在の病院2階から病院3階(現在の透析室)への移転を予定しており、最新機器を備えた効率的でクリーンな作業環境で病理診断業務が行えることが期待されています。私たち病理診断科・病理部は、今後も新たな知識・技術・機器を積極的に導入し、富山から全国そして世界へ発信できる病理診断科・病理部として発展していきます。これからも、変わらぬご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。(田近洋介、平林健一)2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年1382014年 病理診断科/病理部
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