中央診療施設として、検査部は1979年4月に、輸血部は1993年4月に設置された。その後、輸血部は2003年9月に輸血・細胞治療部となった。2005年10月の3大学統合により、富山医科薬科大学附属病院から富山大学附属病院に変更され、2015年4月には、検査部と輸血・細胞治療部が統合し、検査・輸血細胞治療部に改組された。部門としては、血液検査部門、尿・一般検査部門、生化学・免疫・凝固・外注検査・採血部門、遺伝子・先進医療支援部門、細菌検査部門、生理機能検査部門、輸血・細胞治療部門から構成されている。2019年4月に北島部長の後任として仁井見が部長となり、以下の「臨床へのサービスの4つの向上」を検査・輸血細胞治療部の進むべき方向性の1つとして明確化し、その実現に取り組んできた。① 検査の迅速化:TurnAroundTime(TAT)すなわち検査受付から検査終了までの所要時間を工程毎に毎月モニタリングし、TATの増減を詳細に評価・検討することで検査時間の短縮化を図っている。その結果、採血時間(この改善には採血者の更なる増員が必要)を除いては、かなりの程度TATが改善され、無駄な検査時間を無くすことが出来た。② 検査の正確性の確保:内部精度管理および外部精度管理を定期的に実施して、客観的な正確性の評価を行っている。また、検査業務に関する何らかのインシデントが生じた場合、実務者会議および運営会議(週1回開催)で直ぐに対応策を協議し、同様のインシデントが二度と生じないようにシステムの改善に努めている。当部門は現在、「検査マネジメントシステムと検査技術の向上」を品質目標として、ISO15189「臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項」の認定を受けている。本規格の品質マネジメントシステムを実践することで、「先進医療を実施する組織」としての大学病院の基盤を築いている。③ 臨床(医師、看護師、患者様)からの要望への迅速な対応:定期的なアンケート調査や要望書による臨床(医師、看護師、患者様)からの要望を迅速に検討し、検査・輸血業務にフィードバックしてサービスの改善を図っている。我々は臨床からの自由・闊達な要望を直ぐに検討する「風通しの良い」部門を目指しており、例え要望に応えられない場合でも、その理由をしっかり説明した上で納得して頂けるように努めている。④ 有用な検査情報の積極的な発信:検査に関わる重要(必要)な情報は常に紙媒体や一斉メール等で早期に連絡するように努めている。また、定期的にLABNEWSを発行し、有用な検査情報の発信を行っている。その他、研究開発および最先端の検査を提供することによる付加価値力の向上を目指し、当部門ではTmマッピング法を独自開発し、感染症起炎菌の迅速同定(検体採取から4時間程度)&定量検査(他施設では実施不可能)を実施している。本検査法は国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)の産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-M)に採択された。また当部門の遺伝子検査の強みを活かし、COVID-19流行早期にPCR検査体制を構築することが出来た。このように新規検査法の研究開発を推進し、最先端の検査を提供することにより、「他施設には無い」付加価値力の向上に努めている。以上、当部門は医師3名、臨床検査技師44名、看護師5名、事務員1名のスタッフそれぞれが「臨床へのサービスの向上」を心掛けながら検査・輸血業務を実施するように推し進めてきた。組織としてはISOに基づく実践的な運営体制を構築しており、週1回の運営会議で高速にPDCAを回して迅速な意思決定と改善を行えるよう努めている。今後も検査・輸血細胞治療部が日々是進歩をモットーに自発的に「動く組織」として活動していけるように、生き生きとした組織(仁井見英樹)作りに努めたいと思う。140〈中央診療施設等〉 検査・輸血細胞治療部
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