1979年10月1日、附属病院の開院とともに手術部は手術室9室(うち2室はクラス100のバイオクリーンルーム、3室は天井懸垂型手術顕微鏡を設置)で開設された。独立した洗浄・滅菌装置を持つ材料室や手術中の迅速な検体検査が可能な測定室を有し、当時としては十分に他に誇れる手術部として誕生した。手術部長は初代部長の伊藤祐輔から2000年に遠藤俊郎を経て2003年9月より山崎光章が務めた。2011年からは塚田一博、2013年からは齋藤 滋、2015年から將積日出夫、2017年から吉村直樹、2021年から藤井 努、そして2023年から佐武利彦が務めている。専任の手術部副部長は1983年より佐藤根敏彦が務め、2006年9月より畠山登に交代している。2011年10月からは釈永清志が手術部准教授に昇任し副部長を務めている。看護師長は2006年4月から木本久子、2016年4月より大坪幸代、2019年4月より藤井まゆみ、2022年4月より大場由希が勤め現在に至る。この20年間の一番のイベントは手術部の改築・改修工事である。全面改築までの沿革を示すが、改修工事は手術部を4区画に分け4期間に分けて実施された。このため、4回の引っ越しが必要となり、手術室が最大7室しか使用できない時期や、バイオクリーンルームも使用できない時期があったため、手術部運営上非常に困難を極めた。しかし各診療科医師、麻酔科医師、看護師やコメディカルスタッフの協力と創意工夫、チームワークのおかげで、工事期間中の手術件数(2013年度)は前年度より592件増加した。この20年間で手術の内容も大きく変わった。一つは内視鏡を用いた低侵襲手術の増加である。これらの術式に対すべく、3Dカメラシステムを含むビデオシステムや術野画像自動録画装置等の整備を行った。またハイブリッド手術室が新たに1室(手術室9番)整備された。ハイブリッド手術室は、手術台と心・脳血管X線撮影装置を組み合わせた手術室で、X線透視・撮影を行いながら直ちに高画質な3次元画像を作成することができ、血管内手術や経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)などの先進的な手術にも対応できるようになった。更に2016年11月手術支援ロボットシステム(DaVinciXiサージカルシステム)の導入により、先進的で低侵襲な内視鏡手術を迅速かつ安全に実施することが可能となった。これらは、今後新たな術式への応用も期待されている。また、麻酔科領域では手術室の増加に合わせて最新の麻酔器とモニターを導入し、自動麻酔記録システムも更新した。国立大学が独立法人化され、手術部も収支改善や安全性向上が求められている。この流れの中で、2005年12月よりSPDを中心とした物流システムが稼働した。2013年12月からは医薬品SPDも稼働した。これらにより、手術材料の部内在庫を減らすことが可能となり、従来在庫管理や器材準備に使っていた時間を短縮させることができるようになった。2011年から患者の歩行入室の開始、2012年当院初の手術認定看護師誕生、WHO安全チエックリスト運用開始、手術室看護師手当獲得等のイベントがあった。手術部看護師数は2003年度の22名、2013年度の48名から現在57名と大幅に増加した。2003年度の手術件数は3,154件で、2013年度の手術件数は6,702件であった。そして2023年度は8,878件、2024度には9,000件を超える勢いである。手術を安全にかつ円滑に遂行するために外科医、麻酔科医、看護師はもちろん、臨床工学技士、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師など周術期にかかわるすべての医療スタッフがお互いの職務を理解し、その役割分担を明確にし、チーム医療を行う必要がある。特に手術部看護師の慢性的な不足状況は緊急に解決すべき課題となっている。(釈永清志、佐武利彦)141第2章 医学部・附属病院 手術部
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