医学部50周年
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放射線部の10年間放射線部の再整備計画検査件数の推移診療放射線技師長・技師富山大学医学部40周年当時の放射線部は、フィルムがすべて廃止されPACS(PictureArchivingandCommunicationSystems)による電子画像保管へと移行した時期であった。50周年の現在においては、A.I.(ArtificialIntelligence:人工知能)技術の急速な発展により、画像診断領域においても、A.I.技術が活用され画像診断支援や画像再構成などに使用されている。当院においても画像診断支援A.I.として胸部X線画像病変検出ソフトウェア『CXR-AID』が2022年に導入されている。この10年における診療現場の出来事として『COVID-19における世界的なパンデミック』『令和6年能登半島地震』が挙げられる。COVID-19の診断では胸部のCT検査とレントゲン検査は必須であるため技師達は、日々感染症のリスクを伴いながら検査に従事した。令和6年能登半島地震では、当院が災害拠点病院であることからDMAT隊員である2名の技師が被災地へ派遣し支援活動に従事した。2018年頃より放射線部の再整備計画が開始され撮影室の改修や大型装置を順次更新した。2024年1月に『フォトンカウンティング検出器』を搭載した次世代型CT装置が導入された。MRI部門では、新MRI棟の建設が計画されており2026年2月に建屋が完成、4台のMRI装置(3T-MRI3台と1.5T-MRI1台)が順次設置される予定である。核医学部門では、2022年より『ルタテラ治療』のRI内用療法が開始された。PET検査においては、『アミロイドPET』が2024年5月より開始された。血管撮影部門では、脳卒中センターや循環器センターの設立に伴いIVR(InterventionalRadiology)を必要とする患者数が増加を続けていることから2019年12月に血管撮影室を1室増設し4室(バイブレーン装置2室とシングル装置2室)体制とし、手術室のHybridORの装置も併せて血管撮影装置は5台で対応している。しかしながら、増加し続けるIVRの需要に血管撮影装置だけではなくスタッフ(技師・看護師)の増員が不可欠となっている。放射線治療件数は年々増加傾向であり、2018年2月に2台目のリニアックとしてIMRT(強度変調放射線治療)装置が導入された。リニアックが2台体制となり、安定した放射線治療を実現することが出来ている。2014年から2023年の間、一般撮影単純は56,066件から60,823件、血管撮影は1,741件から2,412件、CTは19,162件から26,696件、MRIは9,502件から11,218件、放射線治療は8,054件から10,251件、PETは1,320件から1,704件と増加の一途をたどっている。2015年6月からはCT、MRIのコンピューター断層撮影診断と核医学診断に関する画像診断管理加算2の施設基準も取得し現在も継続している。診療放射線技師長は初代に倉西誠(1979~2003)から中村衛(2003~2007)、利波修一(2007~2010)、新谷光夫(2010~2013)、熊谷道朝(2013~2016)、稲垣晶一(2016~2018)、森光一(2018~2023)、伊藤貞則(2023~)まで引き継がれ現在に至っている。診療放射線技師数は2014年に31名であったが、2024年では39名(女性12名)と増員され検査・治療件数の増加に対応してきた。2023年から副技師長を3名から5名に増員することで各部門の課題に対して迅速に対応させることが出来ている。(野口 京)142 放射線部

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