医学部50周年
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今後の展望富山大学附属病院では、中央診療施設として「災害・救命センター」があり、救急医療と災害医療といった危機管理を主に担う部門です。「災害・救命センター」は50周年誌という50年という長さからみると10数年の歴史の浅い部門であります。災害・救命センターの歴史はもともと救急部として、活動してきたことは「救急科」のページを参照していただきたいと思います。2012年に附属病院内の救急部が廃止され、従来のER(EmergencyRoom:救急外来部門)に加えて、救急専用の入院病床であるECU(EmergencyCareUnit:救命病棟部門)8床を整備し「災害・救命センター」を開設しました。その際に医学部 救急・災害医学講座の奥寺敬教授が初代センター長に併任いたしました。「災害・救命センター」はその名の通り、救急医療から災害医療まで幅広く対応する対応する富山大学附属病院の中央診療施設であり、富山県内のみならず、近隣県も含めて、救急医療の最後の砦としての役割を果たすべく、24時間365日体制で高度な救命救急医療を提供する部門です。開設当時はERとECUで1名ずつ、合計2名体制で主に救急科スタッフと各診療科からの応援医師体制で運営をしてきました。2023年4月から救急医学講座(旧 救急・災害医学講座)に土井智章教授が赴任したことで、土井智章教授が新センター長となり、災害・救命センターの運営体制は、ERに2名、ECUとER兼任で1名の合計3名の医師で運営していく方針に変更されました。医師の増員により、災害・救命センターは全診療科の全面的な応援体制となり、現在に至っています。このER医師の増員によって、より重症な症例やより多くの救急搬送に応需できるようになり、今後のさらなる発展が期待できます。また、2024年の医師の働き方改革に対応するために、2023年より医師のタスクシェアの観点から病院救急救命士2名を採用し、ER業務を行っているのが県内でも最先端の取り組みであることは特記に値すると考えます。災害・救命センター横には、立体ヘリポートが設置され、2015年5月より、当院のヘリポートを各機関との供用を開始しています。ヘリポートからは渡り廊下で直接、災害・救命センター3階にあるECUおよびICUにつながっており、早急な救急医療対応が可能なのも当センターの特徴の一つと言えます。また、ヘリポートの耐荷重は7トンであり、大型ヘリコプターが着陸できる構造となっており、そのため、富山県ドクターヘリのみならず、富山県消防防災ヘリ、富山県警ヘリの受け入れが可能な県内では数少ない航空医療搬送に多様に対応できる病院の一つであります。実際、2024年1月1日に発災した令和6年能登半島地震の際も被災地より、ドクターヘリや防災ヘリの受け入れを積極的に行えた実績があります。災害医療に関しては、当院は2006年に富山県の基幹災害拠点病院に指定されており、富山県の災害医療の中心機関であります。災害発生時は災害派遣医療チーム(DMAT)を構成し、被災地に派遣するという役割は災害・救命センタースタッフが中心となり、行っています。能登半島地震時はもちろん、東日本大震災、2019年の長野県豪雨災害など富山県からのDMAT派遣要請には当院は積極的に応需してきました。災害・救命センターは2024年に増築工事が開始予定であり、ERのスペースが拡張され、より多くの救急搬送に対応できるようになり、ECUもより重症症例に対応できる設備が整うことになります。病院の中枢を担う中央診療施設としての役割をますます果たして行くことが責務であると考えます。今後は救命救急センター及び北陸初の高度救命救急センターの指定を目指していきたいと思います。次の50年後も名実ともに救急医療体制を支える存在でありたいと思います。【スタッフ】(2024年9月現在)センター長 土井 智章特命診療助手 川岸 利臣特命診療助手 渕上 貴正特命診療助手 波多野智哉助教     楠澤 佳悟医員     舘 祐香里(土井智章)144 災害・救命センター

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