本学附属病院では2016年12月にdaVinciXiを用いたロボット手術が開始された。当初は泌尿器科のみで行われていたが、呼吸器外科、消化器外科での適応追加に伴い各科での手術件数が劇的に増加したため、ロボット機器を円滑かつ安全に運用することを目的として、2020年7月にロボット手術センターが設立された。ロボット手術センターの役割は大きく3つに大別される。第一には、ロボット機器を各科で毎日稼働、運用するためのスケジュール管理である。2024年1月には2台目となるdaVinciXが導入された。同時に婦人科でのロボット手術が本格的に行われるようになった。現在daVinciXiおよびXの2機種について、定時枠の割付・見直しの他、空き枠の活用や診療科間の枠交換・調整を行い、毎日2機種を常時活用する体制を構築している。第二は安全な手術を行うためのサポートである。当センターでは高難度新規医療技術評価委員会に委員を派遣し、新たに開始する術式の審査を行っている。また、異なる診療科間で技術の交換や情報の共有を行い、ロボット手術の質を高めるためのサポートを行っている。さらに、臨床工学技士、看護師、麻酔科医が当センターの構成員になっており、ロボット手術を受けられるすべての患者に安全確実な手術を提供するためのチーム医療とスタッフ教育体制を整えている。第三はロボット外科医の育成と技術普及である。当センターでは、シミュレーターや実機を用いた各種トレーニングメニューを用意し、新たにロボット手術を行う外科医の育成や、さらなるスキルアップを目指す外科医の技術向上をサポートしている。当院で技術をマスターした外科医が、当院および関連病院の最前線で活躍することも当センターの役割の一つであり、県内外に優れたロボット外科医を輩出している。(北村 寛)156 ロボット手術センター
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