リハビリテーション部は1979年10月の開院時よりリハビリテーション業務を行っている。開設時のリハビリテーション室は、開設準備にあたった整形外科辻陽雄教授、田村茂理学・作業療法士らにより、当時大学病院のリハビリテーション部門の多くが地階にある中で、屋外にも出られるようにと中央診療棟の1階に設置された。492㎡の広さに運動療法室、物理療法室、水治療室、和室のADL室を含む作業療法室、言語療法室が設けられた。診療体制は、玉置哲也部長、野口哲夫副部長の下、田村理学・作業療法士に碇康子理学療法士、松平洋子作業療法士が加わった療法士3名で運営が開始された。以降各診療科からの依頼を受け、病気や傷害から生じる心身の障害によって社会生活が困難となる患者の心身機能を回復、維持、強化し、患者個々のニーズに合わせたADLやQOLを確立すべく、主に急性期の治療にあたってきた。2017年には心臓リハビリテーションを開始するため水治療室を改修して心臓リハビリテーション室が整備された。その後、病院再整備によって2022年12月に中央診療棟の地階へ移転し、約2倍となる920㎡に拡張された。地階とはいえ半地下の構造で採光できる窓が多数あり、屋外歩行練習のできるスペースも確保されている。また、移転に伴って新たにロボットリハビリテーションをはじめとする治療機器や各種検査機器、装具などが補充された。開設当初から理学療法士と作業療法士が入れ替わりながら合わせて3名という少ない人員体制で2005年まで業務を行ってきた。長年にわたって人員不足が言われてきた中にあって、2004年の国立大学法人への移行と2005年の三大学統合を契機に、2006年に初めて増員が認められた。それから少しずつ理学療法士・作業療法士が採用されるようになり、2017年にはようやく理学療法士と作業療法士を合わせて10名に達した。また、2018年には療法士として初めて川合宏理学療法士が定年を迎えて主事となった。2021年にはリハビリテーション部として言語聴覚士も採用され、2024年4月1日現在では理学療法士22名、作業療法士8名、言語聴覚士5名、計35名の療法士を有している。リハビリテーション部を統括する部長、副部長は長年整形外科の医師が兼任し、これまで部長は辻教授(1985年~)、木村友厚教授(1998年~)が、副部長は山田均医師(1984年~)、伊藤達夫医師(1987年~)、高野治雄医師(1989年~)、米澤孝信医師(1992年~)、北川秀機医師(1994年~)松井寿夫医師(1997年~)、松野博明医師(1998年~)、松下功医師(2003年~2019年)が歴任した。2020年にリハビリテーション科が新設され初代教授として着任した服部憲明医師が部長を務め、現在は乙宗宏範医師、堀川英世医師との3名体制でリハビリテーション診療業務を行っている。2021年には療法士を総括する療法士長職が設けられ、石黒幸治理学療法士が初代療法士長に就任した。その後、2022年に新出敏治理学療法士が新たに設けられた副療法士長に就き、2024年には主任療法士制度が導入され、5名が配置された。開設当初から現在に至るまで、リハビリテーション部は当院の大学病院としての高度先進医療を支える役割を担っている。高度な急性期医療が推進されていく中で早期離床を行うため、リハビリテーション科医師とともに各診療科の医師、看護師、その他の関連職種と協力してリスク管理に留意し、各療法士が専門性を生かしながらリハビリテーション業務に携わっている。最近は、疾患の多様化や高齢化が進んでおり、効果的で安全なリハビリテーション治療を円滑に行うためには各関連職種との連携が必須であり、各病棟での多職種カンファレンスや学際的医療チームへの参加などを通して、より質の高いリハビリテーション治療の提供に取り組んでいる。また、大学病院の一部門として、研究活動や教育活動も積極的に行っている。(服部憲明)157第2章 医学部・附属病院 リハビリテーション部
元のページ ../index.html#171