富山大学附属病院では2020年度に「地域医療総合支援センター」を設置し、各医療機関からの派遣要請を集約し、一元的に医師を派遣するシステムを運用している。それまでは各医療機関から直接各診療科へ要請があり医師が派遣されていたため、医師偏在の是正や地域医療の維持と必ずしも一致しない場合もあり、一元的に管理することでより適切な医師派遣ができるような体制を整えてきた。各医療機関から常勤医師の派遣要望がある場合は、当センターに「医師派遣要請書」を提出していただき、地域医療総合支援学講座が実施する「富山県医師適正配置等調査」ならびに厚労省が提示する「医師数調査(三師調査)」、「医師偏在指標」等のデータ分析に基づき、“医師偏在の改善”の観点からその妥当性を評価して派遣を決定している。具体的には毎月開催する「地域医療総合支援センター委員会」で各医師派遣の妥当性を検討し、医師派遣を決定している。また、富山県厚生部医務課と四半期に1回(年4回)「富山県医師派遣検討会」を開催し、各自治体からの医師派遣の要望や富山大学からの医師派遣の状況について十分に情報を共有しながら適正な医師派遣に努めている。2024年4月から実施された「医師の働き方改革」に伴い、今まで通りの医師派遣が困難になる場合も危惧されたため、2023年度から当センターでは医師派遣の減員や中断などが考慮される場合は、各診療科ならびに当該医療機関と速やかに連携が取れる体制を構築して、適切な医師派遣が継続できるように尽力している。2024年3月時点で富山大学は富山県内の57の医療機関に514名の常勤医師を派遣しているが、2023年度には本システムを運用して医療機関の要請に応じて68名の交代派遣と16名の新規派遣を実施した。また県外42の医療機関には142名を派遣し、2023年度には18名の交代派遣と4名の新規派遣を実施した。今後も地域医療を支えるために、適切な医師派遣を実施していく予定である。(峯村正実、林 篤志)【センター委員会 委員】(2024年度)センター長 林 篤志病院長副センター長 安田 一朗副病院長 川口 善治病院長補佐 峯村 正実客員教授委員 小林 大介客員准教授 竹村 京子客員助教 中田由紀子事務部長 日水 栄病院企画課長事務 山内 未央事務補佐員【富山県医師派遣検討会 構成員】(2024年度)富山大学附属病院 林 篤志病院長 安田 一朗副病院長 川口 善治病院長補佐 峯村 正実客員教授 小林 大介客員准教授 竹村 京子客員助教 中田由紀子事務部長 日水 栄病院企画課長富山県厚生部医務課 中村真由美課長 竹内 徹係長 砂田今日子主事171第2章 医学部・附属病院 地域医療総合支援センター
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