薬剤部業務の大きな変革期を迎えて入を予定しており、増加している抗がん剤の混注作業の人的負担が軽減されることが見込まれ、医師のタスクシフトとともに今後の薬剤師の業務はさらに大きく変化すると思われる。以下平成28年以降に行ってきた主な改革と環境整備の変遷は次の通りである。調剤室監視カメラ設置(H29.4)、治験用恒温保管庫設置(H29.7)、自動錠剤包装システム[ATC]更新(H29.10)薬剤管理指導業務から病棟薬剤業務への全面切り替え(H30.2)、Dr.JOYを用いた薬剤部内SNS開始(H30.2)、薬事ニュースの一斉メール配信(H30.4)、病棟薬剤業務実施加算1算定【12病棟+5ケアユニット:MFICUのみ除く】(H30.7)、第34回経営改善タスクにて2019年6名2020年3名2021年3名の増員を決定(H31.1.17)、感染制御部専任薬剤師(AST)1名配置(H31.4.1)、キュービックシステム(冷所薬品、高額薬品管理システム)導入(H31.4.19)、薬剤管理指導N7およびS4の算定再開(R1.7.1)、薬物血中濃度測定を検査部へ移管(R1.7.26)、病棟薬剤業務実施加算2【ICU・NICU】を算定開始(R1.11.1)、MRのDI室入退室管理システム(Dr.JOY)運用開始(R1.12.10)、医師オンコール体制へ移行に伴う宿日直時の業務追加(R2.2.1)、薬剤管理指導N7S4以外の算定を再開(R2.4.1)、院外処方箋に対する疑義照会の事前承認を項目限定で開始(R2.7.16)、薬学部に薬剤部研修室設置され乾性製剤室から移動(R2.8.24)、就業管理システムの試用開始(R4.5)、R6年大規模改修のための薬剤部図面作成のためのWG(R5.3)、医療技術職員特別支援手当7000円 支給決定(R5.3)、指導薬剤師等手当・専門薬剤師5000円 認定薬剤師/3000 支給決定(R5.4)、新薬剤部図面ほぼ確定(R5.7)、ピッキングサポートシステム(ユヤマ GXhandy) 20台導入(R5.8)、抗がん剤調製支援システム(三田理化工業)2台導入(R6.3.28)、休日及び時間外を含めたすべての抗がん剤調製を薬剤部で実施(機能評価指摘)(R6.4)。(小野敦央、加藤 敦)この10年における附属病院薬剤部は新型コロナウィルス感染症の影響を受けながらも、教育・業務共に大きな変革があった期間であった。薬学部生/大学院生への講義/実習/研究指導に加えて、医学部医学科生/看護学科生への講義や特定看護師養成のための講義も分担している。薬学部学生は、受け入れ数を増やし毎年30~40名の学部学生長期実務実習を指導するとともに、博士後期課程や修士課程の院生並びに薬学部卒業研究生を多数受け入れて指導養成を継続している。業務では平成30年2月に薬剤管理指導業務の算定を一時的に中止し、病棟薬剤業務実施加算の算定へ切り替える方針となり、その年の7月より12病棟5ケアユニットで病棟薬剤業務実施加算1の算定を初めた。その後、薬剤管理指導を算定するために12名、外来化学療法センター増床のため担当薬剤師1名、感染制御部にAST専任薬剤師1名、入退院支援センター担当薬剤師1名、手術室専任薬剤師1名と合計16名の大幅増員が行われた。全国的にも国立大学病院薬剤部の薬剤師定員は同様に増加しており、これらは薬剤師による保険点数の算定件数の増加のほか、医師の働き方改革に伴うタスクシフト、病院機能評価機構等の指摘による薬剤師業務の増加への対応によるものと思われる。一方で薬剤師不足は深刻で、調剤薬局・ドラッグストアは初任給の大幅アップや奨学金、支度金の支給等金銭的格差により薬剤師を獲得したため病院薬剤師不足は加速した。本院でも薬剤師の欠員が数名、加えて産休・育休も2~3名について補充できずにいる。また令和6年4月からは抗癌剤の混注作業を時間外、休日を含む100%薬剤師が行なっている。総合がんセンター内、通院治療センターにおける薬剤師外来、抗癌剤治療レジメンの作成(補助)等を行なっている。機器の導入ではピッキングサポートシステム(バーコード認証端末等)を令和5年に導入、抗癌剤調製支援システムを令和6年3月に導入し、今まで薬剤師が複数で確認するところを一人で調製可能とし、人手不足を補っている。さらに令和7年には抗癌剤混注ロボットの導178〈部・センター等〉 薬剤部
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