富山県の医療分析と医師適正配置の支援富山県の医療を担う人材の育成富山県の医療を担う人材の確保と医師の適正配置を支援する目的で、富山県の寄附講座として「地域医療総合支援学講座」が2017年度に開設された。(第一期2017~2019年度、第二期2020~2022年度、第三期2023年度~)当講座の重要な役割として、富山県の地域医療を分析して医師の地域偏在や診療科偏在の状況を明らかにし、その改善に貢献することがある。2017年度から「富山県医師適正配置等調査」として富山県の公的24病院の医療需要と医師数から診療科別の医師充足率を分析し、毎年開催される「富山県医師確保総合支援協議会」で医師偏在対策を提案してきた。2023年度に小林大介客員准教授が着任し、「地域医療提供体制分析チーム構築支援事業」が富山県より業務委託され、富山県のすべての病院を対象とした「DPCデータを用いた富山県の医療需給、将来推計分析」が実施され、富山県の地域医療構想の推進に大きく貢献している。また、富山大学附属病院では「地域医療総合支援センター」を設置して各医療機関からの医師派遣の要請を集約して、富山県と情報を共有しながら医師派遣の一元管理を実施している。当講座は個々の医師派遣の妥当性をデータに基づき分析し、各診療科や当該医療機関との調整を図るなどの重要な役割を担っている。2024年度から開始された「医師の働き方改革」による地域医療への影響を最小限にし、将来の医療需要を考慮した医師派遣を支援している。富山県の医療を担う人材確保のため、富山大学医学部では2007年度から学校推薦型選抜として「地域枠」、2009年度からは臨時増員枠の総合型選抜として「富山県特別枠」、2022年度からは総合型選抜として「富山県一般枠」が創設され、これら三枠だけでも在学生は160名以上となっている。これらの医学生の医師キャリア形成を支援し、県内定着を促進することが本講座の大きな役割となっている。「キャリア形成卒前支援プラン」として、「合格者オリエンテーション」、「新入生歓迎会」、「個別面談」、「地域枠・富山県一般枠・特【地域医療総合支援学構成員】(2024年度)別枠学生の集い」、「ハンズオンセミナー」などを継続的に実施している。その中でも“先輩医師がどうしてその診療科を選択したのか?どうやって医師としてのキャリアを築いてきたのか”を語って頂く「キャリアパスガイダンス」をこれまで計20回開催し、学生の進路選択をサポートしてきた。また、“富山県の地域医療の課題がわかる”企画として「とやま医療未来塾」を計11回開催して、地域医療への関心を高める工夫をしている。2023年度からは自主企画型の「地域医療体験フレキシブル実習」を開始し、学生が自ら考え行動する力を養うと共に地域医療の現場を体験することで、地域医療へのモチベーションの醸成を図っている。すでに石川県輪島市のごちゃまるクリニック、鹿児島県与論島のパナウル診療所、沖縄県宮古島のうむやすみゃあす・ん診療所などの施設で実習し、現場でしか得ることができない貴重な経験をしてくれている。これらの卒前支援プランが、将来の富山県の医療を支える人材の育成に繋がっていると考えている。当講座の開設から約8年間が経過し、富山県の地域医療の分析や地域枠等の学生への支援の取り組みが軌道に乗ってきている。今後も富山県の医療をより良くし、地域医療を支える人材の育成に(峯村正実)尽力していく予定である。客員教授 峯村 正実 客員准教授 小林 大介 客員助教 竹村 京子 事務補佐 山内 未央 〈地域医療提供体制データ分析チーム〉コーディネーター 田縄 奉子事務補佐 井本亜紀子182〈寄附講座〉 地域医療総合支援学講座
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