医学部50周年
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第1節2012年に一條裕之が赴任した当時、教員の松井好人(整形外科)、技術職員の押川満と富山大学しらゆり会事務の山田ゆかりが教室を守っていた。2013年に松井が臨床に戻ったのちに、竹内勇一、川口将史が、2015年に中村友也が助教として赴任した。2022年に川口が、2023年に竹内が他大学に准教授として栄転し、2024年に後任として楠井優香が本学薬学の大学院で博士を取得し赴任した。教員は解剖学の教育を支え、ストレス環境などの忌避的な情報処理に関わる手綱核が関わる行動を中心とした神経科学的研究を進めている。大学院の学生として、兼本宗則が2020年に、NguyenThiVanTrangが2023年に博士を取得して、中川芽依が2023年に修士を取得して、兼本は博士研究員として、Trangは帰国して研究の継続を計り、中川は就職し、それぞれ研究室を旅立った。黒嵜恒平(2019年)、山田拓人(2020年)、桝谷優斗(2023年)は医学科学生として研究医養成プログラムに参加し卒業した。金子尭興(2020年)は長く研究室で快適に過ごして卒業した。樋口祐那、丸林菜々子、川村雄一郎、日山礼弥、川又莉英瑠は在学生として、プログラムを行っている。2018年に荒山駿介が技術職員として採用され、献体業務の技術を継承したのちに、押川は2020年に退職した。献体業務は教育活動を支える業務であるが、一名の技術職員が大きな負担で支えており、個人に依存する脆弱な部分となっていた。この状況は他大学においても同様に見られ、2020年以降に社会問題として他大学での例が報道され、日本解剖学会が文科省に現状を訴え、全体としての改善を図る動きなどもあり、坂井俊介が2023年に採用され、長い間の懸念が改善された。荒山と坂井は献体業務に加えて学務業務を分担して、大学の教育を支えて広く貢献している。山田(~2016年)の退職後、富山大学しらゆり会の事務を加藤美喜子(2016~2019年)、村田恵美(2019~2024年)が継続して務め、2024年から吉田友美が担当している。鈴木美奈子と松山通代は研究室の実験補助を行った。教育においては解剖学を担当している。医学科一年次の「ヒトの構造の基礎」、二年次の「解剖学および解剖学実習(マクロ解剖学)」「基礎医学統合」、他の講義、看護学科「形態機能学演習」、薬学部「人体機能形態学」を担当し、大学院授業を担当している。高学年の学生による発展的な解剖学実習を行っている。学内の制度整備を行い、2018年からは臨床講座が行う遺体を利用した手術手技研修(CadaverSurgicalTraining,CST)に貢献している。コロナ禍(2020~2022年)においては学生を午前午後の二部に分けた解剖学実習を実施し、コロナ禍前から行っていた動画作成と配信を発展させて困難なく移行し、平時と変わらない教育の質を確保した。研究室では、手綱核が関わる行動とストレス環境などの忌避的な情報処理の神経科学的研究を行っている。中村は幼少期に繰り返すストレス刺激が外側手綱核の成熟に影響を及ぼし、成体の行動の変容を引き起こすことを発見した。Trangは外側手綱核のトポグラフィックな違いを発見し、行動変容の神経回路機構を探求する基礎を築き、川又・中村・楠井が発展を図っている。兼本・桝谷はストレス刺激によって活動性が亢進する大脳基底部の細胞集団に個体差があることを発見した。捕食に伴う攻撃は被食者にとって最も基本的なストレス環境だが、攻撃と防御行動の実装、アルゴリズム、計算論を川村・一條が研究している。私達は流れに阿ることなく研究成果を追い求めている。(一條裕之)56〈医学科〉 解剖学講座 医学部

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