2024年7月第92回日本病理学会中部支部交見会(富山)。スタッフ(病理診断学、病態・病理学、病理部、法医学)、研修医、学生とともにホタルイカのポーズ。し、地域の病理診断をサポートしています。教育活動としては、医学部2年生の病理学教育を中心に、各臓器別の病理学講義と実習、CPCや病院実習を担当しています。平林着任後は、毎週木曜日に「BarAnatomiaPatologica」という名称で医学部学生向けの勉強会を開催しています。この勉強会では、学生とともに病理組織標本を鏡検し、授業等の質問に答える場を設けています。毎回数名の学生が参加し、勉強会後は秘書の井上が用意するお菓子とコーヒーを楽しみながら雑談するのが常となっています。また、2024年7月現在、4名の学生が研究医養成プログラムに参加し、将来の病理医となることが期待されています。研究活動としては、平林の専門である膵・胆道の病理学的研究を中心に、膵癌のKRAS変異と病理組織形態との関係性の研究、膵神経内分泌腫瘍におけるmiRNAと薬剤耐性メカニズムの研究などを行っており、科研費も複数獲得しています。また、イタイイタイ病の病理学的資料の保管と整理も継続して行っており、医学部地下のイタイイタイ病資料室内に保管されている病理組織検体や資料の整備を進めています。将来展望としては、病理専攻医や病理医のリクルートを推進し、富山から世界に発信する魅力ある病理診断学講座を目指しています。医療と研究の両面で地域と連携しながら、富山大学そして富山県の病理診断学の発展に貢献できるよう努めて参ります。(平林健一)富山大学病理診断学講座は、設立以来、医療と研究の両面で大きな進展を遂げてきました。1976年4月、北川正信教授のもとで第一病理学講座として発足し、1999年8月には高野康雄教授が二代目教授に就任し講座の発展を推進しました。2006年に「病理診断学講座」と名称を変更し、2012年1月には井村穣二教授が三代目教授に就任。そして、2022年5月には平林健一が四代目教授として着任し、現在は附属病院の病理診断科科長と病理部部長を兼務しています。2024年7月現在、平林を中心に、病院助教の高木康司、大学院医員の南坂尚、病院医員の市原有美、技術職員の八田秀樹、西田健志、下村明子、講座秘書の井上ゆかりが講座を支えています。病理診断学講座では、附属病院での病理診断業務を中心に、人体病理に関連する教育と研究を行っています。専門医や認定医の取得においては、平林が病理専門医・細胞診専門医・分子病理専門医・日本膵臓学会認定医・日本胆道学会認定指導医、南坂が病理専門医と細胞診専門医、高木が病理専門医の資格を持ち、専門性の高い病理診断を行っています。2024年4月に加入した市原は、口腔病理専攻医として口腔病理専門医取得を目指しています。ここ数年で、病理組織検体を用いたコンパニオン診断やがんゲノムプロファイリング検査、FISHなどの分子病理学的診断が新たに導入され、病理の役割が一層重要となっています。特に、がんゲノムプロファイリング検査では、検査に提出する病理組織検体の事前チェックだけでなく、エキスパートパネルに参加し治療方針の決定にも積極的に関わっています。最新の機器として、2023年5月に講座にも自動免疫染色装置(Leica,BOND-MAX)が設置され、診断および研究に活用されています。剖検については、従来通り月の前半を病理診断学講座、後半を病態・病理学講座が担当していますが、執刀医に関しては2024年4月からは両講座の病理医がローテーションで担当しています。剖検数は年々減少しており、2023年には36件となりました(病理診断科・病理部のページを参照)。新型コロナウイルス感染症のパンデミックも剖検数減少に影響を与えました。地域連携の面では、南砺市民病院、済生会富山病院、新潟県立中央病院、上越総合病院、厚生連滑川病院、高岡ふしき病院に病理医を派遣62 病理診断学講座
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