講座の人的体制教育活動研究活動旧ウイルス学を母体として、全ての微生物を教育できる組織として微生物学講座が発足し、2020年(令和2年)4月1日に森永芳智が教授に着任した。谷英樹准教授(同年6月30日退職→富山県衛生研究所)、山田博司助教、木村美幸助教(2022年3月31日退職→感染症研究所)、吉田与志博専門技術職員の新体制となった。2023年(令和5年)には、修士学生の渡辺帆乃花、UgbanuPeterChimaobi、森田未香、助教のAsmaaAbushawishが加わった。2024年(令和6年)には、博士学生のNguyenTienManhとMaiThuHoai(外科学第二講座所属)、浅野恭子、助教のRudyHermawan、先端抗体医薬センター特命助教の河原永悟、同URAの満山順一が加わり、一段とにぎやかにかつ国際的になった。この間、補佐員として朴木薫(退職)、中川由美子(退職)、木山恵莉が講座全般を支えている。基礎研究演習(研究医養成プログラム)としては、松岡里咲、関口和樹、竹島彩花、浅野恭子、染川真由、木村真穂子、渡辺彩愛、人見優太朗、下保晴稜が日々研究活動を行い、科学的思考力、プレゼンテーション力を養成してきた。医学科・看護学科・薬学部の微生物・感染症領域の教育を担当している。両学部の1年生には、様々な機会を通じた課外教育として、確実な抗原検査の実施と判定、飛沫感染の教育を行い、全医療人に必須の感染教育を全国で最も早い時期に提供している。医学科の微生物学(2年生後期)では、病原微生物だけでなく常在細菌叢についても教育を行っていることが特徴であり、さらに現行の教科書ではほとんど言及がない病原体核酸検査(いわゆるPCR検査)について、国際的水準かつ臨床水準で教育を行っている。薬学部の病原微生物学(3年生後期)では、臨床経験を活かしてリアルな症例も紹介しながら、臨床をイメージできるよう工夫している。看護学科(3年生後期)では、90分2コマという極めて限られた時間で、感染対策や消毒・滅菌など臨床に必須ですぐに実践できることに注力している。医学科の感染症学(4年生前期)では薬剤耐性菌について国家試験レベルでは網羅していないクリティカルな課題までを触れている。当講座は時代の潮流に合わせて臨床に活きる研究に取り組むこととしている。「いまをだいじに」がモットーである。そのため、2020年4月より新型コロナウイルス対応に全力を挙げることから始まった。附属病院で検査対応を行わない方針であったため、1日で検査体制を確立し、附属病院ならびに富山県内全体の検査を支援した。また、当講座の協力により附属病院検査部ならびに県立中央病院でも検査体制が整った。当講座ではウイルス量まで算出できるよう仕込んだため、COVID-19でのウイルス動態をパンデミック初期より明らかとした論文は引用数150を超え、我が国の活動指針の会議でも取り上げられた。また初期より感染者血清にウイルス中和活性が獲得されることを突き止め、検査法へ発展させることで感染者免疫やワクチン有効性のエビデンスを生みだした。感染症学講座との協力も盤石で、4年半の間にCOVID-19論文25報を報告した。当大学の感染症領域でのプレゼンスが大きく変わり、先端抗体医薬開発センターの発足、新型コロナウイルス等の動物実験が可能なABSL3の稼働、全国医学部で唯一のウィズコロナ時代の感染症医療人養成事業(文部科学省)への選定につながった。2023年4月を境として、専門である細菌研究へのエフォートを大きくしている。次世代シークエンサー2台、リアルタイムPCR3台、嫌気性菌培養装置、フローサイト等の機器導入に加え、細胞培養専用実験室の設置、ABSL2面積の拡大など、現在、宿主腸管内への薬剤耐性菌保菌メカニズム解明、敗血症病態解明と新コンセプト確立を大きな柱として掲げ、新しい治療創出を目指している。また、人的ならびに設備的充実に加え、将来的な発展性も見据えて、RSウイルス、薬剤耐性真菌の研究にも着手した。4年半で計4件のAMED獲得、科学研究費(B)のほか、多数の企業との研究を行っている。(森永芳智)65第2章 医学部・附属病院 微生物学講座
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