医学部50周年
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沿革教育活動 研究活動 学会活動等集合写真(2020年6月)公衆衛生学講座は1978年4月開講し、初代加須屋實教授が着任した。加須屋教授時代には、イタイイタイ病およびカドミウム汚染地域住民に関する疫学研究、カドミウム中毒に関する実験的研究、アレルギー(花粉症)に関する研究、低濃度大気汚染の植物影響および樹木年輪情報の利用に関する研究を展開した。加須屋教授の在任期間中(1978年4月-2002年3月)8名の博士号取得者(うち留学生2名)が誕生した。2003年5月より第2代稲寺秀邦教授が着任し、現在にいたっている。講義・実習として、医学科3年「環境保健学」および「富山医療学」、医学科4年「社会医学実習」、看護学科2年「公衆衛生学」、修士課程「社会医学序論」および「社会医学特論」、博士課程「公衆衛生学特論」および「環境医学特論」等を担当している。主な研究テーマは、幅広い公衆衛生学分野のなかの環境保健分野である。特に2010年度から開始された環境省委託事業「子どもの健康と環境に関する全国調査:エコチル調査」が講座のメインテーマとなっている。エコチル調査は、妊娠中や出生後早い時期の環境要因が、子どもたちの成長や発達に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、2010年度に全国15の調査対象地区でスタートした。2011年より3年間で、全国10万人の妊婦さんを登録し、生まれた子どもが成人になるまで、追跡していく大規模かつ長期的な調査である。それ以外のテーマとして、環境化学物質、天然物に関する実験的研究は橘信二郎助教(2009年9月より琉球大学農学部亜熱帯生物資源科学科准教授)、崔正国助教(2020年2月より福井大学医学部環境保健学講師)が中心となり、12件の科学研究費補助金の助成を受けて行ってきた。本テーマについては、大学院に在籍した留学生に担当してもらう体制を整え、2名の修士課程修了者、5名の博士課程修了者を送りだした。また栄養学、特に脂肪酸に関する実験的・臨床的研究を浜崎景准教授(2021年4月より群馬大学医学部公衆衛生学分野教授)が展開した。稲寺教授着任後2024年8月現在、修士課程修了者5名、博士号取得者(論文博士を含む)13名が誕生した。この間、上記の者に加え以下の3名が他の教育研究機関に栄転している。加藤輝隆(横浜薬科大学公衆衛生学教授)、内田満夫(群馬大学数理データ科学教育研究センター教授)、城川美佳(神奈川県立保健医療福祉大学准教授)。稲寺教授は在任中、日本衛生学会理事、副理事長をつとめ、2021年3月には「これからの衛生学と日本衛生学会の使命」をテーマに第91回日本衛生学会学術総会(富山)の学会長をつとめた。また2015年から2018年まで、日本衛生学会英文誌“EnvironmentalHealthandPreventiveMedicine”(IF4.7:2022)の編集委員長をつとめている。開学50周年にあたり、開学当初の諸先輩方のご苦労とご努力に敬意を表するとともに、これまでのご支援ならびにご指導を賜りました関係各位に深謝申しあげます。(稲寺秀邦)67第2章 医学部・附属病院 公衆衛生学講座

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