沿革・体制教育研究社会貢献(関根道和)疫学健康政策学講座は、1980年に「保健医学講座」として開講した。初代は渡辺正男教授、2代目は鏡森定信教授が講座長を務めた。その後、「疫学健康政策学講座」に講座名が変更され、関根道和教授が3代目の講座長を務めている(2013年~現在)。講座は、疫学を専門とし、科学的根拠に基づく健康政策への貢献をミッションとしている。講座の体制は、教授1名(関根道和)、准教授1名(山田正明)、助教1名(立瀬剛志)、事務職員1名、博士課程8名、研究医養成プログラム学生3名、協力研究員6名である。講座の研究会は公開しており、講座関係者のほか、他大学教員、他学部教員、他講座教員など、毎回10数名が参加して活発な討議を行っている。参加者の背景は、医学、歯学、理学、工学、統計学、看護学、保健学、教育学、体育学、心理学、哲学、文学、経営学、経済学など多岐にわたっており、異分野融合による「総合知」を創造できる環境が整っている。社会医学系講座として、疫学および保健・医療・福祉・介護に関する制度や政策を担当している。具体的には、学部では「SDGs入門」、「学士力・人間力基礎」、「教養としての都市デザイン学」、「医療学入門」、「疫学」、「医学統計」、「富山医療学」、「医学英語」、「社会医学実習」、「研究室配属」、「研究医養成プログラム」等を担当している。大学院では「総合医薬学」、「医薬学プロフェッショナル研究論」、「社会医学序論」、「社会医学特論」、「医療制度と医療経営特論」、「疫学・健康政策学特論」、「健康生活のための統計分析」、「大学院特別実習」等を担当している。講座のミッションを果たすべく、地域と連携して、小児期から高齢期までの様々な健康課題の対策や解決に資する疫学研究を実施している。研究は、日本疫学会奨励賞、日本公衆衛生学会奨励賞、富山県ひとづくり財団「とやま賞」、厚生労働統計協会「川井記念賞」等の受賞、日本疫学会副理事長等の役員の拝命につながっている。68小児期•富山出生コホート研究(富山スタディ)•文部科学省スーパー食育スクール事業(連携先:高岡市教育委員会)•とやま安心ネット・ワークショップ事業(連携先:富山県教育委員会)成人期•日本公務員研究(連携先:ロンドン大学ユニバーシティカレッジ、ヘルシンキ大学)•富山県国民健康保険特定健康診査・医療費分析(連携先:富山県厚生部厚生企画課)•生活習慣病予防に関する健康診断データ分析(連携先:JCHO高岡ふしき病院)•富山市Well-being調査データ分析(連携先:富山市保健所地域健康課)高齢期•富山県認知症高齢者実態調査(連携先:富山県厚生部高齢福祉課)•富山県後期高齢者医療健康診査・医療費分析(連携先:富山県後期高齢者医療広域連合)疫学研究は論文公表で終わりではなく、研究成果が社会の制度や政策に織り込まれてこそ意味がある。そのため構成員は、行政委員として施策の立案や評価に協力している。具体的には、富山県医療費適正化計画検討委員会、富山県地域医療構想調整会議、富山県国保団体連合会保険事業支援評価委員、富山県食品安全推進本部、富山市健康づくりプラン21(第3次)推進委員会、富山市地域職域連携推進協議会等である。また、研究成果の還元を目的として「富山大学市民講座」(連携先:読売新聞)の担当をはじめ、各種講演会講師を務めている。次世代育成として「ジョブキッズとやま『医師のしごと』」(連携先:北日本放送(KNB))を担当し、また、「とやま社会医学系専門医研修プログラム」(連携先:富山県、富山市)の統括責任者を務めるとともに事務局を運営している。今後とも疫学研究を核として、教育、研究、社会貢献の好循環をつくり、社会における健康課題の対策や解決に貢献してきたいと考えている。 疫学健康政策学講座
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