医学部50周年
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沿革概要基本方針研究活動教育令和6年7月 医局集合写真当講座は本学医学部の講座増設に伴い昭和54年4月に設置され、遠藤正臣が初代教授として着任した。昭和61年5月より金沢大学助教授であった倉知正佳が第二代教授に就任し、地域貢献する臨床医の育成や統合失調症を対象とした総合的研究の体制が整備された。平成19年8月に鈴木道雄准教授が第三代教授に昇任し、従来の講座活動を継承・発展させ、特に精神疾患の早期介入分野における臨床および研究が大きく進展した。平成22年7月に川﨑康弘講師が金沢医科大学教授として転出、また平成25年11月に住吉太幹准教授が国立精神・神経医療研究センターに転出した。平成30年4月に日本専門医機構による新専門医制度の研修基幹施設としてプログラムを整備、専攻医の受け入れを開始した。令和2年4月に本学アイドリング脳科学研究センターが発足し、当講座が基幹講座のひとつとなった。令和6年6月より髙橋努准教授が第四代教授に昇任した。「地域医療で活躍する人材の育成と精神医学の重要疾患に対する総合的な研究の推進」を目標としている。地域病院からの医師派遣要請に対しては最大限応えるよう努めている。地域医療への貢献を重視し、地域の人々が抱える課題を取り上げ、それに先端的水準で取り組むことにより創造的な研究が生まれ、それが講座の発展にも繋がるというのが講座の基本方針である。研究活動においては、国内・国際共同研究を積極的に進めており、特に統合失調症圏を対象とした生物学的研究においては国際水準の先進的研究を継続している。統合失調症の発症危険状態であるAt-riskmentalstate(ARMS)を対象とした臨床研究においては、中心的役割と担う研究拠点のひとつとして世界的に認知されるに至っている。主な研究分野は、①磁気共鳴画像を用いた脳画像研究、②事象関連電位を用いた神経生理学的研究、③血中不飽和脂肪酸測定などの臨床薬理学研究、④嗅覚機能研究、⑤認知神経心理学的研究、⑥遺伝子解析、⑦統合失調症モデル動物を用いた基礎精神薬理研究などである。国内外の研究コンソーシアムに参加し大規模サンプルによる精神疾患の遺伝子解析、脳画像解析を行うとともに、教室員の留学先であるメルボルン大学、ジョンズホプキンス大学、およびハーバード大学とも共同で先進的な脳画像研究を継続している。平成28年~令和6年前半にかけて公表した英文原著論文は105編である(JAMAPsychiatry,MolPsychiatry,BiolPsychiatryなど)。平成28年度以降の競争的研究資金は、日本学術振興会の科学研究費基盤研究B・Cの代表および分担、同若手研究や先進医薬研究振興財団精神薬療分野の代表、日本医療研究開発機構研究費(障害者対策総合研究開発事業、戦略的国際脳科学研究推進プログラム)、日本学術振興会の同国際共同研究加速基金(国際共同研究強化B)の分担などである。学部教育では、医学部医学科「精神系」講義、臨床実習のほか、基礎配属、研究医養成プログラム、OSCE医療面接担当、看護学科「精神臨床医学」講義、薬学部「薬物治療学」講義分担など多岐に渡る。大学院教育では、医薬理工学環(博士前期課程・修士課程)、総合医薬学研究科(博士課程)の講義・実習などを担当している。なお平成28年度以降の教室員の学位(博士)取得者は、ベトナムからの留学生2名を含め7名である。卒後臨床教育では、平成30年度の新専門医制度開始以降、18名が専攻医として専門医研修プログラムに参加(入局)している。(髙橋 努)79第2章 医学部・附属病院 神経精神医学講座

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