医学部50周年
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研究体制の変遷と現状研究業績の概要教育体制の変遷と現状地域医療への貢献当教室では開講以来、癌治療の治療成績向上、手術治療の安全性向上に対する基礎研究・臨床研究などを幅広く行っている。特に現在は、消化器癌の悪性化に関与する膜輸送蛋白質の新規病態生理機能の解明、術後深部感染症予防のための早期起炎菌特定、胃癌に異常発現するNa/Kポンプの遠隔転移への関与と治療標的分子としての可能性の検証、膵癌切除検体の各種蛋白発現と予後・治療効果判定の解析、乳癌における新規バイオマーカー、治療標的分子の発見に関する研究、などに関する論文作成や学会発表が活発に行われている。この10年間(平成28年度以降)に以下の学会・研究会を主催した。2018第273回 北陸外科学会2019第56回 北陸内視鏡外科研究会2022第5回 CTC臨床応用研究会2022第54回 制癌剤適応研究会2022第26回 日本外科病理学会学術総会2023第17回 膵癌術前治療研究会当教室は若手医師の育成に力を入れ、手術や臨床の技術を習得するための環境を整えている。「若手に手術・診療を教える」という体制を一貫しており、開腹手術や腹腔鏡下手術は肝門部胆管癌などを除けばほとんどを若手医師が執刀しており、最近ではロボット支援下手術も若手医師による執刀が可能となった。また当教室は肝胆膵外科学会高度技能医が6名、内視鏡外科学会技術認定医は11名在籍しているほか、ロボット手術(daVinci)術者certificationも16名が取得している。さらに毎年資格取得のため他大学からの短期研修も受け入れている。学生教育としては4年次より講義、臨床実習を通して担当しており、学生・研修医の外科教育の一環として、ハンズオンセミナーも今秋開催予定である。外科医減少が叫ばれている今だからこそ、外科診療の楽しさ、やりがいを学生のころから知ってもらうことが今後重要になるため、我々も教育体制をさらに整えていきたいと思う。消化器癌、乳癌など年に数回の市民公開講座を通して医療に関する最新情報や専門知識をわかりやすく発信し、市民の知識習得と日常生活での健康管理に役立てていただけるよう尽力している。また、サテライトセンターとして済生会高岡病院や糸魚川総合病院、かみいち総合病院などと提携し、富山県近隣の甲信越では等しく最先端の治療を提供できるシステムを構築している。(金谷瑛美、藤井 努)82 外科学(消化器・腫瘍・総合外科)講座

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