富山大学 薬学部 学部案内2026
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2222フィールドを選択せよ、自己研鑽が必要です。自分を高めていけるよう努力をしてほしいと思います。その積み重ねが、結果として、社会のため、ヒトのために貢献できることに繫がると、私は信じて仕事をしています。株式会社池田模範堂 研究開発部 薬理グループ 北井 克樹(H30 卒業・R2 修士) 私は池田模範堂という富山の製薬企業で、研究開発職として勤務しています。会社名をご存じの方は少ないかもしれませんが、主力商品である虫刺され用かゆみ止めの名前を聞くと馴染み深い方も多いのではないでしょうか。もちろんその他にも様々な商品開発を行っており、私も含め研究所では日々試行錯誤を繰り返しています。 このような研究開発の仕事には多角的な視点が必要であり、薬学部で培ってきた幅広い知識が役立ちます。また、研究開発に必要な最新の知識や技術を得るために富山大学をはじめ、様々な大学と共同で研究を行うこともあります。 私自身は在学中に研究の面白さに気づき、多くの選択肢の中から企業研究者としての道を選択しました。大変なこともありますが、毎日楽しんで仕事ができていると感じています。これから富山大学で学ぶ人たちが、自身の思い描く「なりたい姿」に向かって突き進んでくれることを願っています。アステラス製薬株式会社 BioPharma Manufacturing  私は製薬企業の医薬品製造職として、微生物発酵由来の医薬品製造に従事しています。製造は出発原料である生産菌のセルバンクをフラスコに植菌するところから始まり、最終的には工業スケールの大型培養タンクにスケールアップしていきます。その後、培養液中の有効成分を精製し、高品質な医薬品に仕上げています。 微生物発酵による製造は、微生物という生き物を相手にしている為、同じ作業を実施したとしても毎回収量や不純物量が変動するため、高品質の医薬品を安定に製造することは簡単ではありません。そのため、悩まされることも多いですが、そこが製造の面白さでもあります。日々出てくるデータと過去のデータを比較し、より良い医薬品を製造することを常に考えながら業務を進めています。また、製造作業だけでなく、最新の GMP 管理をするための文書整備や生産の効率化・向上を目指し関連部門と連携し実験スケールで検討を実施することもあります。微生物の培養がうまくいかなくなったときには、私自身で過去の文献やデータの調査をし、原因解明と解決に向けて取り組みます。その結果、製造を無事に完了させたときには非常にやりがいを感じることができます。 また、自分自身が担当する製品が変わる際には、新たな微生物、製品との出会いにワクワクします。製品が変わると、菌種も製造方法も変わります。これまで自身が培ってきた培養や精製のノウハウを活かすことができる部分もありますが、製品ごとに課題があるため、一から勉強しなければならないことも多くあります。これは大変なことかもしれませんが、自身の成長につながる貴重な機会でもあります。 現職に就いてからは、学部・大学院時代に進めていた研究を全て活かせているわけではありません。しかし、私が学部・大学院で蓄積できた知識・経験・能力は、自分の基盤となっていると感じます。今後も富山大学で得たことを発揮し、高品質の医薬品を供給することで、世界中の人々の健康に貢献していきたいと思います。 私は現在、日本新薬という製薬企業で研究職として働いています。日本新薬は、難病・希少疾患に重点的に取り組んでおり、より良い新薬を患者さんに届けることができるよう日々研究を行っています。私は、無数にある化合物の中から薬の候日本新薬株式会社 定村 龍太(H29 卒業・H31修士・R5 博士)山村 朋弘(H29 卒業・H31(R1)修士)補を見出してくる創薬初期段階において、薬が投与されてから体内でどのように吸収され、どのように消えていくかを明らかにする薬物動態の研究に従事しています。動物に化合物を投与する実験や生体試料を用いた実験を実施し、そのデータを基に臨床での体内動態や薬効の予測、他の薬剤との併用時における影響のリスク評価を行っています。そして、プロジェクトチームで議論や試行錯誤を繰り返しながら開発化合物が標的疾患の医薬品として有効かつ安全なものとなるよう取り組んでいます。 富山大学在学中には、学部時代に薬学の基礎を、大学院時代に研究者としての基礎を学びました。その中で「熱意を持ち目標に向かって物事に打ち込む」という経験が私を大きく成長させ、現在の研究者としての土台になっていると感じています。これから富山大学で学ぶ皆さんが、興味のあることを見つけて取り組み、充実した大学生活となることを願っています。 薬剤師はただ薬を渡すだけという世間のイメージもあると思います。しかし、実際は患者さんの状況と薬の内容を吟味して、適正かどうか判断したり、困っていることはないかなど、積極的にコミュニケーションをとったりと、薬の知識はもちろん、傾聴力も必要です。幅広いスキルが求められるため、とてもやりがいのある仕事だと感じています。 「くすりの富山」で薬学を学んだ経験は大変貴重なものです。西洋医学はもちろんのこと、東洋医学で用いられる漢方についてこれほどまで深く学べる大学は珍しいと思います。実際に臨床現場でも、漢方を用いた治療はよく見かけるため、大学で学んだ知識を活かしながら働くことができています。 富山大学には、薬剤師が求められる幅広い知識とスキルが学べる環境が用意されています。本学で学び、薬剤師として活躍されることを心から応援しています。総合メディカル株式会社 薬剤師 今井 若菜(R5 卒業) 私は大学卒業後、薬 局に就 職しました。現在は複数の診療科がある医療モール内の薬局で勤務しています。毎日たくさんの患者さんが来局されますが、その中には何度も来てくださる顔なじみの方もいらっしゃいます。患者さんに近い存在として、頼っていただける薬剤師を目指して薬局を選んだので、それが実現できる環境にいられることがとてもうれしく、毎日充実しています。自治医科大学附属病院 繁昌 志帆(R5 卒業) 私は大学卒業後、地元である栃木県に戻り、総合病院に就職しました。内服薬、注射薬、院内製剤および抗がん剤チームでの経験を経て、現在は病棟担当薬剤師として業務を行っています。内分泌代謝科、アレルギー・リウマチ科、皮膚科そして総合診療内科が担う病棟を請け負っており、日々様々な病態の患者様と接しています。 ひとくちに治療といっても、手術や放射線、リハビリテーションなど、方法は疾患により多岐に渡ります。私たち薬剤師が関わることのできる薬物治療は、その中の一部に過ぎません。医師の作る治療の流れに乗り、薬剤師としてどのような貢献ができるか、試行錯誤の毎日ですし、自らの課題であると感じます。病院では身近に医師や看護師といった他職種が居り、またカルテの閲覧が可能です。治療方針や患者背景などを把握しやすく、介入の幅を広げることができるという点が病院薬剤師の強みだと私は考えています。 富山大学杉谷キャンパスには薬学部の他、医学科や看護学科が併設されており、部活動などを通した交流があります。同じ医療を学んでいても、捉え方や着眼点が異なり、在学中とても刺激を受けました。大学で培った交友関係は卒業後も続いており、私の貴重な財産となっています。また各分野に精通した先生方から講義を受けることができるため、より深い学びが得られます。薬学実習では、学んだ知識を実践という形でアウトプットする機会もあります。 富山大学での生活は、様々な場面でいまの私に活きています。みなさんにもそれを実感していただければ嬉しく思います。企業研究者という選択肢製薬企業の製造技術者として働く製薬企業の研究職として働く薬剤師として働く中で今思うこと薬剤師としてできることを

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