富山大学理学部案内2022
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CONTENTS「宇宙環境で植物の細胞は どのように分裂するのか?」玉置助教の研究が、国際宇宙ステーション「きぼう」で実施される予定です。宇宙環境が植物の細胞分裂に与える影響の解明 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の2019年度「国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船内環境を利用する実験テーマ(フィジビリティスタディテーマ)に、学術研究部理学系 (理学部生物学科) 玉置大介助教のテーマが選定されました。 早期の軌道上実験の実施を目指し、JAXAと協力して実験計画の詳細化、技術検討等のフィジビリティスタディを行い、24ヶ月以内に宇宙実験の実現性の目途を立てる予定です。■背景・目的 地上と宇宙環境の違いのひとつとして、重力の大きさがあります。月や火星などにおいて作物を生産するためには、重力が植物のボディプランに与える影響を正確に把握する必要があります。植物の器官や組織の形態形成の基礎要素は、細胞の伸長と分裂であり、微小重力が細胞伸長に与える影響については、これまでに多くの研究がなされてきました。一方、微小重力が細胞分裂に与える影響については、実験例が少なく、統一された見解が導かれていないのが現状です。また、植物の細胞分裂過程には分裂準備帯、紡錘体、フラグモプラストなどの微小管から成る構造体が重要な役割を果たしますが、微小重力環境においてこれらの構造体の形成が正しく行われるかは不明です。本研究では、緑藻植物Coleochaete scutataとタバコ培養細胞BY-2株を国際宇宙ステーションへ打ち上げ、「きぼう」に新たに搭載される共焦点顕微鏡を用いて取得した画像データによって、微小重力が植物細胞の細胞分裂および細胞分裂過程に形成される微小管構造体の形成に与える影響を明らかにします。■成果の活用、目指すビジョン 本研究の成果から、微小重力環境が植物の細胞分裂に与える影響の直接的な証拠を掴むことができ、微小重力環境下における細胞分裂の変化と、その変化が個体のボディプランに与える影響を解析することができます。加えて、本研究の成果は宇宙での作物栽培の基礎情報として必要不可欠であり、月面や火星での効率的な植物の生産に繋がる基盤技術を生み出すことが期待されます。創出された基盤技術を転用し、地球上での効率的な植物の生産システムの構築につなげることができます。分裂準備帯紡錘体フラグモプラストタバコ培養細胞BY-2株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 01・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 02・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 03・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 05・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 07・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 09・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13表紙写真紹介理学部入学者受入方針● 数学科● 物理学科● 化学科● 生物学科● 生物圏環境科学科教員研究テーマ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18・・・・・・・・・・ 19・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25RESEARCH TOPICS研究者レポート入試情報理学部イベント情報データが語る富山大学理学部大学院と大学関連施設キャンパスライフイベントカレンダー表紙写真紹介タバコ培養細胞のカルス。核を赤色蛍光タンパク質、微小管を緑色タンパク質で可視化しているため、赤色と緑色の蛍光を発している。蛍光タンパク質で核・染色体と微小管を可視化したタバコ培養細胞における微小管構造体。マゼンタ:核・染色体、黄色:微小管玉置助教からのメッセージ富山大学理学部生物学科に入学して、私たちと一緒に宇宙植物学の謎に迫ってみませんか?01表紙写真紹介

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