脊柱側弯症患者の手術の安全性に光

 思春期特発性側弯症患者さんの手術の際に、これまでどのくらい背骨が伸びるか不明でしたが、富山大学医学部整形外科学講座の関 庄二診療講師、箭原康人医師のグループ、信州大学および新潟大学整形外科のグループとの共同研究により、平均で約1センチ伸びることが明らかになりました。手術前後のCTで専用ソフトを用い3次元的に比較することで、世界で初めて明らかになりました。

 思春期特発性側弯症は10代に発症する背骨の曲がりであり、その発症頻度は約2%です。発症は女児に多く、腰痛、背部痛や、ひどくなると呼吸障害を引き起こし、死亡率も上昇します。また背骨のバランス不全のために、体幹の変形に悩む女児も多いことが現状です。
治療法は、Cobb角(背骨のレントゲンでの角度)が25度を超えると装具治療を行い、40度を超えると手術加療が一般的です。側弯症は3次元的な背骨の曲がりであり、これまで手術によりどのくらい背骨が伸びるか不明でしたが、今回の研究によりCobb角50度で約1センチ、Cobb角70度で2センチ背骨が伸びることが分かりました。脊髄は約3センチ以上伸びると麻痺の危険性が増大することから、手術の安全性の面から非常に重要な点が解明できました。また手術後に身長がどのくらい伸びるかもわかるため、患者さんにとっても朗報です。

 この研究成果は2019年1月2日に「Journal of Bone and Joint Surgery American Volume」に掲載されました。

プレスリリース [PDF, 312KB]