メタボリックシンドロームの未病を科学的に検出

 富山大学 小泉 准教授、奥 特命准教授、門脇 教授、齋藤 学長および東京大学 合原 教授らのグループは、生体信号の揺らぎに着目した数学理論(動的ネットワークバイオマーカー理論)により、実用的に簡易化したインデックスを用いて実データを解析することで、メタボリックシンドロームの未病を科学的に検出しました。

 現在、未病の重要性が認識され、疾患の発症前や超早期において予防的・先制的医療介入を行うことで、その発症や重症化を未然に防ぐ手段の確立が、社会的に強く求められています。しかしながら、この未病という考え方はこれまでは経験知に基づく概念的なものであり、その存在は科学的には証明されていませんでした。
 共同研究チームは、未病を科学的かつ定量的に検出するため、生体信号の揺らぎに着目した数学理論である動的ネットワークバイオマーカー理論(DNB理論)を用いました。DNB理論では、健康な状態から病気の状態へと遷移する直前において、一部の互いに関連した生体信号の揺らぎが大幅に増加することが数理解析によって予測されています。従って、「揺らぎが大幅に増加した時点=未病の状態」と考えることが出来ます。これにより、未病を生体信号データの解析を介して定量的に直接検出することが可能となりました。

 本研究は2019年6月24日午前10時(英国時間)に、英国科学誌「Scientific Reports」 にオンラインで公開されました。

プレスリリース [PDF,512KB]