日本の都市域および郊外における細菌バイオエアロゾルの特徴を解明

【概要】
富山大学学術研究部理学系の田中大祐教授、広島大学学術・社会連携室の藤吉 奏助教、丸山 史人教授らの研究グループは、日本の都市域および郊外における細菌バイオエアロゾルの特徴を明らかにしました。本研究は、屋外大気における細菌の群集構造(細菌叢)、多様性、粒径に関する特性と、ヒトの健康への潜在的な影響を評価する基盤となることが期待されます。本研究成果は、2020年7月22日に英国科学雑誌「Scientific Reports」において公開されました。
【研究成果のポイント】
日本の都市域(横浜市)および郊外(富山市)において大気試料を粒径別に捕集し、高速シークエンサーによる網羅的なメタゲノム解析を行ったところ、粒径1.1 µmの閾値で細菌の群集構造(細菌叢)、多様性、密度が異なることが両地域で明らかとなりました。
都市域ではPropionibacterium属、Staphylococcus属、Corynebacterium属などヒトの皮膚常在細菌が特徴的に認められたのに対し、郊外ではMethylobacterium属やSphingomonas属などの土壌や植物に関連する細菌が特徴的に認められました。
大気中の細菌の内で僅か0.5%程度含まれる呼吸器感染症を引き起こす可能性のあるレジオネラ属菌が、両地域の主に粒径2.1µm以上の粗大粒子側で検出され、系統解析の結果から冷却塔に生息するレジオネラ属菌が大気を介して国内で広がっている可能性が示されました。

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