平成19年 年頭挨拶

「平成19年・新年のご挨拶 -「助走」から「ホップの年」に向けて-」

五福、杉谷、高岡キャンパスの皆さん、明けましておめでとうございます。

皆さんは平成19年という新しい年をどのような気持ちで迎えられたでしょうか。雪のない正月休みでしたが、休養は十分とれたでしょうか。気分がリフレッシュできたでしょうか。仕事納めのご挨拶でも申し上げましたが、私自身は、「ひとつの区切り」として、この新年を迎えることができました。不思議なもので、仕事納めから一週間しか経過していませんが、大変新鮮な気持ちになっております。年末の多忙な日々が遠い昔の出来事のように思われます。長年年末年始に繰り返される行事や風習がそんな気持ちにさせるのでしょうか。

私は、平成19年を新富山大学にとって「飛躍の年」になるよう願っています。年末のご挨拶で、昨年は再編・統合に伴う積み残し事項の整理など、「助走」の一年だったと申し上げました。しかし、今年は、この「助走」を引き継ぎ、三段跳びでいう「ホップ・ステップ・ジャンプ」の最初の跳躍の年、つまり「ホップの年」にしたいと思います。私は、新しい富山大学を教育面、研究面、社会貢献面で若者が憧れ、地域社会や県民が誇りに思い、世界に向けて情報発信できる総合大学に向けて、着実に努力を続け、実績を積み重ねていきたいと考えております。

もちろん、富山大学が大きく飛躍するには乗り越えなければならない課題が横たわっております。これらの課題は本学の運営との関わりで見ると、いわば環境条件とも言うべきものと、本学に固有に存在するものの二つに分けられますが、ここでは四点に絞って、その概要と取り組み方向について述べ、新年のご挨拶といたします。

第一の課題は本学にとって環境条件とも云うべき政治・社会の動きへの対応についてです。これらの動きは予想外の速さで変化しております。皆さんよくご存知のとおり、新しい内閣が発足して新政策が次々と提起されております。私なりに新内閣の方針を纏めますと、「経済成長路線により財政赤字を克服する」と理解できます。つまり、国民が直接負担する消費税等に直ぐ手をつけず、経済成長とその税収により約8百兆円にも上る国債残高等を徐々に解消するというものです。この方針を貫徹するには「巧妙な経済政策の舵取り」が求められます。現に経済成長を高望みしてインフレとバブルを招き、その後の不況に対して国債を乱発し公共事業で支えた結果が8百兆円の借金という、「失われた十年」の苦い経験が私にはすぐ想起されます。

そうなると、新内閣が強調するように、税収不安化を補うため財政支出の削減が不可避となります。平成19年度予算案は決定していませんが、中期的視点に立つとき、運営費交付金に対する財政当局の厳しい姿勢が予測されます。ちなみに、一昨年の暮れ5年間で人件費5%削減の提案が突然なされたことは記憶に新しいと思います。このような環境条件の急激な変化にどう対応するか、将来をどのように予測するか、大学法人化後の大学運営にとって非常に大きな課題になっております。

その意味で、教職員の皆さんにはこのような環境条件について関心を持っていただき、その変化をフォローしてほしいと思います。さらに具体的に云えば、「大学法人化の意味」を再度確認していただきたいと思います。本学は、国レベルの政治経済的な動向や財政問題を避けて通ることはできません。

第二は第一の課題と深く関連している組織再編の課題です。これに関しては昨年5月に実施したキャンパスミーティングで、「新大学の運営方針」の中でも申し上げましたが、三大学の統合・再編以降、新しい富山大学の教育研究体制の体系化・一体化については未解決な多くの課題が残されています。したがって、本学は第一の課題でも申しましたように、変化の激しい時代の要請に応えるため、またさらにポスト中期目標期間をも視野に入れて、限られた教育研究資源を最大限に活用する、先端的かつ弾力的な教育研究体制を再構築する必要があると思います。

具体的には、少子化が急進展する中で、学生及び社会の視点にたち、効果的かつ効率的な教育研究組織を構築するため、昨年の12月に学長のもとに「組織再編検討会」を設置しました。今後これを出発点にして一定のスケジュールにもとづき、学内外の意見を広く取り入れながら検討したいと考えております。

第三は暫定評価への対応問題です。平成20年度には中期目標期間の業務の実績に関わる暫定的な評価が実施されます。もちろん、この評価結果は次の中期目標・中期計画の内容や運営費交付金等の算定に反映されることになっており、この暫定評価は今後の本学の運営に直接影響を及ぼす大変重要な課題です。特に平成19年度は暫定評価の最終年度であることを十分に念頭に置いて、現在、準備を進めておりますが、これには学部、研究科、各種センター等の全構成員の皆さんの全面的な協力が必要です。

この課題については、他大学も改革のスピードを加速させ、業務運営や財務内容の改善・充実、教育研究の質の向上と大学の個性化に果敢に取り組んでおります。これらの取り組みのひとつである「個人評価システム」については、国立大学評価委員会が年度評価に関わる総括の中で取り上げており、多くの大学で初期段階の検討を終えて、実施に向けてさらに検討を進めています。

本学は教員業績評価システム構築の見通しが不明確である、との国立大学法人評価委員会から指摘されていることもあり、平成19年度において評価が実施できるよう、皆様のご協力をお願いします。

私はこの評価問題に対しては民間企業で取りざたされているような「極端な成果主義」を採用すべきでないと考えています。とは云うものの、真摯に教育研究や業務に取り組んでいる人が、その働きに対して相応な評価を受けることができる仕組みが、本学の活性化に必要だと思っております。したがって、そのような方向での検討をお願いしております。その意味では、私は、平成19年度(2007年)を「評価の年」と位置づけております。

第四は教育システム改革、とくに共通教育改革の問題です。これについては新大学の再編・統合時における約束事でもあり、すでに昨年9月にワーキンググループを設置して検討しております。新生富山大学は入学した全ての学生に対して、質の高い共通教育を提供し、また、8つの学部の学生の密接な交流条件を整える責務があると思っています。今後これらの検討を出発点にして、学内の意見を広く取り入れながら具体化に向けて検討したいと考えております。

年頭の「仕事始め」に臨み、教職員の皆さんに本学の重要な課題とその方向及びご協力について述べました。若干、年頭から厳しい内容にもふれましたが、それは新富山大学が現在ある課題に取り組みつつ、明るい将来をにらんで約10年後の姿を求めて準備を怠らない、そんな短期と長期の視点が必要だと思ったからに他なりません。

この平成19年が、教職員の皆様及びご家族が健康で、本学にとって素晴らしい「ホップの年」になるよう祈念して、新年のご挨拶といたします。

改めて、新年まことにおめでとうございます。

平成19年1月4日11時・3キャンパスを繋ぐ双方向テレビシステムにより
富山大学長 西頭 德三