平成18年度入学式 式辞(学部)

平成18年度入学式風景(学部)

式辞

平成18年4月7日、新しい富山大学の初めての入学式の日を迎えました。私たち教職員一同は、ご来賓の方々や皆さんの諸先輩と共に、この日を心待ちにしておりました。まず、富山大学を代表して、学部1,933名、第3年次編入学90名、高岡短期大学部専攻科34名の新入生の皆さんに、心よりお祝いの言葉を送ります。ご入学、大変おめでとうございます。

本日、このように若々しいエネルギーにあふれる皆さんを迎え入れましたが、富山大学も発足して6ヶ月というエネルギーにあふれる大学です。ご存知のように、昨年の10月1日、富山県内の旧富山大学、旧富山医科薬科大学及び旧高岡短期大学の統合・再編により、新しい富山大学が船出しました。すでに『大学案内』でご覧になったように、本学は人文学部、人間発達科学部、経済学部、理学部、医学部、薬学部、工学部、そして芸術文化学部の8つの学部に加え、和漢医薬学総合研究所、附属病院の10部局を有する日本海側有数の基幹的な大学になりました。学生数1万人、教員千人、職員千人で、合計で1万2千人にも及ぶ、文字通り、多種多様な教育研究分野を持つ総合大学に生まれ変わったのです。そして、最も重要なのは、皆さんが本学初めての入学生であるということです。「同じ釜の飯を食う」という言葉もあります。私たち教職員一同は、新入生の皆さんと手を携えて、素晴らしい大学を築いていきたいと願っています。皆さん、共に未来を切り開こうではありませんか。

ここにいる皆さんは厳しい学力試験や面接などを通して、意欲ある学生として本学への入学を許可されました。皆さんの現在の関心事は、自らが選んだ学部の講義や将来の夢にあると思います。人文学部や人間発達科学部、そして芸術文化学部に入学した方は、歴史学や文学、心理学やデザイン、建築の講義内容に期待を抱いていることでしょう。経済学部を選んだ人はいずれ自分の会社を経営したいと願っていることでしょう。理学部や工学部に入学した人は早くバイオ研究に取り掛かりたいと思い、また、医学部、薬学部生になった人は医師、薬剤師、看護師として早く社会の医療活動に従事したいと思っていることでしょう。中には、すでに大学院進学を決めている人もいることでしょう。いずれにしろ、私は皆さんに志望学部に合格したときのあの感激や現在の心意気を忘れないでほしいのです。そして、現在の希望を達成して、4年後あるいは6年後にその証をしっかりと手にして下さい。

次に、私は専門学部で専門的な知識を身に付けることの意味をしっかりと認識してほしいと思っています。身近な例を挙げますと、皆さんはこれまで小学校と中学校、そして高等学校で国語や算数、社会、そして英語、体育を学んできました。この12年間の学校教育は将来皆さんが一人の社会人として活躍できる必要最小限の知識を教えることを目的としていました。ところが、大学では皆さん自らが専門分野を選び、専門家として社会を担える教育研究を目的としています。ここで最も重要なことは皆さんが専門の知識を学ぶこと、つまり学問を体系的に習得する点にあります。したがって、大学では新入生の皆さんを「学生」と呼び、自立的な人格者として処遇します。決してこれまでのように、「生徒」とは呼ばないのです。本日只今から皆さんは、富山大学の専門の学問を習得する「学生」になったのです。この積極的な意味を銘記していただきたい。

そこで、皆さんはこの後のガイダンスを終えると、専門科目ばかりでなく、教養科目を学ぶことになります。教養教育は二つの側面を持っています。つまり、専門教育のための基礎教育という側面と、人間としての基礎的教養を身につけるための教育という側面です。

現代の社会がめまぐるしく変化する中で、教養教育に対してはさまざまな意見が存在しています。百人いると百通りの教養教育があるとも云われています。しかし、私は教養の定義そのものよりも、人間的な素養をどのように身に着けるかが重要だと思っています。私の経験では、専門分野を深めていけばいくほど、さまざまな問題や迷いが生じてきます。そんな時、人間としての幅の広さが問題の解決に役立つように思います。このことは入学間もない皆さんには十分な理解が得られないかもしれません。要は、私は豊かな教養を身につけた、高度な専門家になっていただきたいのです。

本日の新入生の中には、県外から富山県に初めて来た人も多いのです。県内学生と共に、皆さんを心より歓迎いたします。富山県は東、南、西の三方を標高三千メートルの立山連峰に連なる山並みに囲まれた富山平野、射水平野、砺波平野と、北は水深千メートルを越す富山湾からなっています。そして、海へと駆け下りる黒部川、神通川、庄川等の河川は、山岳地帯の雪解け水を運んで広大な平野を潤し、富山湾に注いで豊かな漁場を育んでいます。また大学の周辺部は北陸地方で最大の工業地帯です。このように恵まれた自然的社会的条件から、夏は登山やヨット、冬はスキーをはじめあらゆる課外活動が可能です。皆さんの学生生活を決して裏切らないと思います。私自身は「キャンパスの社会化」と称して、富山県全体が富山大学のキャンパスと考えています。

皆さんの新富山大学での学生生活が豊かなものになるようお祈りして、お祝いの言葉といたします。ご入学おめでとうございました。

平成18年4月7日
富山大学長 西頭 德三