平成21年度10月期 入学式 式辞

平成21年度10月 入学式

式辞

本日、富山大学は10月期入学式において、修士課程では理工学教育部と医学薬学教育部を合わせて14名、そして博士課程では理工学教育部、医学薬学教育部、生命融合科学教育部を合わせて9名、合計23名の大学院生を迎えました。
まず、富山大学を代表してお祝いの言葉を送ります。入学おめでとうございます。また、新たに大学院生を迎えられた指導教員・職員、並びにご家族の皆さんにも心よりお喜びを申し上げます。

ちょうど3日前の9月28日、富山大学は、この同じ場所で9月期学位記授与式を行い、学部卒業生16名、大学院修了生16名の合計32名を送り出したばかりです。この時私は、毎回のことですが、学業を終えた皆さんの笑顔を目前にして嬉しくはあるものの、一抹の寂しさを禁じえませんでした。
ところが今日、23名の新しい大学院生を迎えて、ほっとしています。修士課程の2年間、博士課程の3年間もしくは4年間の研究期間は決して長いとは云えませんが、自らが選んだテーマを最大限度まで極めて下さい。

私自身は40年前の5年間の大学院生活を振り返った時、これまでで最も「至福の時」だったように思われます。なぜなら、苦しくはあるものの、全く自由な立場で好きなことに没頭でき、しかもその研究成果がひょっとしたら社会に役立つかも知れないと思えたからです。長い人生では、このような体験はほとんど無いからです。その意味では、「花のいのちは短くて、苦しきことのみ多かりき」というかつての女流作家の言葉が想起されます。
21世紀になり10年近くになりますが、今日の社会はますます混迷し、出口を求めて喘いでいるように感じられます。このような情勢の中で、本学の教職員は大学院生の皆さんと共に素晴らしい教育・研究成果を挙げて、新しい社会の構築に貢献したいと願い、日頃研鑽を積んできました。

そこで本日、この入学式でその成果の一端を紹介したいと思います。平成18年4月の発足した大学院生命融合科学教育部は、医学、薬学、理学、工学という四つの学系が生命科学に結集して、科学・技術の融合・新生という新たな視点で博士課程教育に当たる目的で設置されました。ちなみに、この博士課程のみの大学院教育部の開設はわが国で始めての試みであり、全国から注目されています。

そして、生命融合科学教育部は本年初頭より平成21年度「障害者特別選抜」を実施してきましたが、今回初めての合格者がでました。その合格者について若干ご紹介しますと、その方は横浜市在住の鈴木淳也さんです。鈴木さんはソニー株式会社に在籍しておられ、社会人入学者として生体情報システム科学専攻で音響工学分野を学び、博士号取得を目指すという固い決意です。
鈴木さんの今回の本学への入学は、障害のために大学入学や高度な専門家への道を断念せざるを得なかった障害者の方々が、工学ばかりでなく医学、薬学、理学における専門家を目指す上で、大きな希望を与えるものです。まず、今日まで「障害者特別選抜」制度の企画・実施に努力されてきた生命融合科学教育部の先生方に敬意を表したいと思います。また、鈴木淳也さんにおかれては、全盲というハンデキャップを乗り越えて、所期の目的を達していただきたいと思います。富山大学は全面的に支援いたします。

本日の富山大学10月期入学式は、社会に向かってさらに入口の扉を開くという、意義深いものとなりました。新しい大学院生の皆さんは、富山というこの豊かな自然や文化を満喫しながら、研究に邁進していただきたいと思います。重ねてお祝い申し上げます。

平成21年10月1日
富山大学長 西頭 德三