平成23年度10月期 入学式 式辞


平成23年度10月期富山大学入学式

式辞

本日、平成23年度10月期入学式において、富山大学は修士課程8名、博士前期課程3名、博士課程15名、計26名の大学院生を新しく迎えました。19名は海外からの入学生であります。皆様、大学院へのご進学誠におめでとうございます。富山大学教職員一同、皆様のこれからの研鑽、発展を期待し、心よりの歓迎とお祝いを申し上げます。

今皆様は、人生の新しいスタートに立ち、将来の夢にむけ期待に胸ふくらませておられることでしょう。現在世界は、1970年代以降のコンピュータ技術の進歩・普及により、社会・経済構造が大きく変革し、我々の生活環境や考え方も変化してきました。皆様がこれから生き、作り上げていく30年、40年後の世界は、現在の概念では予想のつかぬ新しい形になることでしょう。皆様の研究成果が将来の人類の発展に貢献することを願い、研究に対する取組姿勢として、私が是非皆様に考えていただきたい3つの思いにつき述べさせていただきます。

一つは、近代医学の発展に大きな足跡を残したSir, William Oslerの「Science, Art and Humanity」という言葉の理解とその実践です。
Science art, humanity の言葉は、医師・医学者に向けたものではありますが、基本的な考え方は、いずれの分野においても全く同様であると感じております。科学的な基礎研究の上にこそ、社会において人のために役立ち、利用できる成果が結実する。言い換えれば、人類の発展と幸せに貢献できてこそ、基礎研究の意義があり、評価されるということであり、研究遂行の中で常にこのことを忘れないでください。同時に研究者として、専門知識を持つ社会人として、どのように時代が変化しようとも、humanityの言葉に込められた、人としての優しさ謙虚さを持ち、日々努力する姿勢を大切にしてください。

二つめは、これからの研究生活において、あなた方一人一人の独創性、創造性を大切に育ててほしいということです。
イギリスの哲学者、経済学者であるJohn Stuart Millは、"All good things which exist are the fruits of originality."「存在するすべての良きものは、独創性の成果である」と言っています。近年のインターネット等のコンピュータ技術の進歩により、それらが生み出すデータ収集・分析能力の大きさやスピードは、人間の能力を遥かに凌駕するものとなり、人としての知識獲得や創造力育成の過程・結果にも大きな変化が生まれてきました。
しかし、情報データの中にあるものは、あくまで過去の知識やヒントであり、新しい発見や創造はその先にあることを忘れないでください。独創性、創造性を大切にして研究していくことにより、あなた自身だからこそできるあなただけのgood thingsを生み出すことに挑戦してください。

最後は、人とのふれあい・絆を大切にしていただきたいということです。研究は決して一人の力だけで成し遂げることはできません。指導者や多くの協力者の力が必要です。相手を尊重し、感謝する気持ちを持ち続け、あなた自身の世界を拡げていってください。

皆様、本日は大学院への進学、誠におめでとうございます。富山大学で学び研鑽をつまれ、富山より世界へ発信できる成果を目指してください。健康に留意し、皆様の新しい人生に挑戦してください。皆様の活躍、発展を心より祈念し、入学式の式辞とさせていただきます。

平成23年10月3日
富山大学長 遠藤 俊郎