「人」の力を育む富山大学を目指す (就任挨拶)

富山大学長
遠藤 俊郎(えんどう しゅんろう)
Endo Shunro

富山大学は、既存の県内3国立大学を再編・統合し、平成17年10月に誕生いたしました。同一県における総合国立大学と医科大学の統合は全国に多数ありますが、国立3大学の統合は全国唯一であり、かつ5学部の旧富山大学と2学部・1研究所・附属病院の富山医科薬科大学に加え、全国にも数少ない芸術文化系の高岡短期大学を含む大型統合がなされたものであります。この点は本学の大きな特色であり財産であります。

統合の結果、大学の組織体制は人文・人間発達・経済・理・医・薬・工・芸術文化という多様な教育・研究分野をもつ8学部、和漢医薬学総合研究所、附属病院の10部局に再編されました。富山大学各部局は、これまでも世界の発展に寄与する基礎研究のみならず、東アジア地域をはじめ諸外国との交流を通じ、東洋と西洋の英知と科学の融合すなわち「知の東西融合」を目指し、フロンティア的学術活動に努めてきました。伝統的なくすり業の蓄積を基に世界の薬草を収集した民族薬物資料館や、東洋の知を求め続けた小泉八雲の蔵書「ヘルン文庫」は、「知の東西融合」を具象化した象徴的存在といえます。大型の大学統合には多くの課題はありますが、各部局が育んできたこれまでの歴史と教育・研究業績を継承しつつ、統合によるスケールメリットを生かし、21世紀社会の構築・活性化に貢献できる総合大学として新たな発展をとげることこそが新生富山大学に求められる姿でありましょう。

富山は地理的に日本海側のほぼ中央に位置し、関東・関西・中京圏のいずれにも等距離という地の利を有し、豊かな自然や独特の農林水産資源にも恵まれております。東海北陸自動車道の開通に加え北陸新幹線の開通も間近となり、富山市・高岡市を中心に先駆的都市開発の取り組みも数多くなされております。中国・韓国・ロシアなど海外各国への門戸も年々拡大されるとともに薬都富山、ものづくり富山、教育県富山の存在は全国的にも注目されるところであります。本学が立地するこのような地域の特性も十分に踏まえ、地域社会への貢献をなすとともに、世界の発展に寄与できる人材育成に努めることは本学の果たすべき役割であります。

大きく変化する社会、そして人類の進化を支えるため、今まさに「人」の力が求められています。地域・全国・世界を見据え、知の発信源の核となる大学を目指し、教職員の皆様や学生諸君と共に我が富山大学を育てていきましょう。