苦難を克服し、新たな歴史を創る(2011年 年末挨拶)

 2011年、我が国では3月11日の東日本大震災や、それに起因する原発事故などの複合災害もあり、不安定な政治・経済・社会情勢をいかに克服し新たな発展を目指すのか、人々は模索と努力の日々を送っています。

 近年の科学技術や情報システムの進歩・普及により、世界は新たな社会・経済変革の時代を迎えています。科学技術等の進歩がもたらす変化について、人類は常に負の課題を克服し、生み出される利点や恩恵をいかに享受していくかと試行錯誤することでその歴史を重ねてきました。しかし世界規模でグローバル化する昨今の変化は、これまでの歴史には見られない異質な性格と格段の大きさを持っています。特に政治・経済面への影響は甚大で、近年は、国家・企業論理のみが優先される傾向が世界を覆っています。

 私は、目先の変化に対応するばかりではなく、人類が育んできた倫理観や文化、そして人としての個や地域の特性を尊重重視する姿勢と対応が強く求められていると考えています。人類は、厳しく困難な時こそ、その英知と力を発揮し、新たな歴史を作り上げてきました。このような時代であるからこそ、知の拠点として大学の果たすべき役割は重要さを増し、学外からの期待感も大きなものとなっています。

 富山大学も厳しい社会・経済環境変化の影響は受けておりますが、地域・世界に貢献する人材育成と科学文化の進歩を創出する研究成果の追求は、変わることのない本学の目標であり、責務であります。本学は、8学部・1研究所・1附属病院を持ち、学部および大学院の学生が約9800名、教職員2500名余の全国有数の大規模総合大学です。特に学部生の数8300名余は、全国の国立大学法人86校中17番目であります。同時に本学は、国立大学法人化と時期をほぼ同じくして、3大学統合を果した全国唯一の大学であります。教育・研究・社会貢献・組織運営それぞれの面で、教職員の皆様は統合による不利や課題の克服とともに、スケールメリットを生かした真の発展に向けた取り組み・成果を重ねてこられました。私は、本年4月に前学長の西頭先生より職務を引き継いで以降、現執行部の皆さんとともに、本学の持つ力と課題について学内外に強く発信するとともに、課題克服とさらなる発展のための取り組みに努めてまいりました。一つの形として、「富山大学機能強化プラン・Challenge2014」を提言し、11月には完成・発表することができました。本プランは、現在実施中の第2期中期計画の課題事項について、より高度の達成を目指す内容で構成致しました。その実践・実現により、厳しい社会状況に負けることなく、他大学との競合の中に本学の存在感を示し、発展への歩みを推進することを目標としております。新しい年、皆様とともに富山大学の新たな歴史を創ってまいりましょう。

 明るい新年をお迎えください。

平成23年12月26日
富山大学長 遠藤 俊郎