平成24年度10月期 入学式 式辞

式辞

本日、平成24年度10月期入学式において、富山大学は修士課程7名、博士前期課程8名、博士後期課程3名、博士課程9名、計27名の大学院生を新しく迎えました。20名は海外からの入学生であります。皆様、大学院へのご進学誠におめでとうございます。富山大学教職員一同、皆様のこれからの研鑽、発展を期待し、心よりの歓迎とお祝いを申し上げます。

今皆様は、人生の新しいスタートラインに立ち、将来の夢にむけ期待に胸ふくらませておられることでしょう。今世界は、20世紀後半からの科学技術の急速な進歩・普及により、社会・経済構造は大きな変革の時代を迎え、我々の生活環境や考え方も変化してきました。皆様がこれから生き、作り上げていく30年、 40年後の世界は、既存の概念では予想のつかぬ新しい形になることでしょう。だからこそ、今これから大学院課程で学び研究に取り組む皆さんには、基礎的な学力に裏打ちされた専門知識とともに、柔軟な思考力と創造力が求められています。同時に、広い視野と深い教養、豊かな人間性と高い倫理観や総合的な判断力、国際人として活躍できる言語能力や行動力も、グローバル化する社会で生き抜く資質として必要となってきています。その道は決して楽なものではありません。

これからの大学院時代は、皆さんが研究者として、社会人として、未来に踏み出す第一歩となります。研究に対する取組姿勢として、皆様に考えていただきたい一つの言葉を述べます。それは「Science, Art and Humanity」という言葉です。この言葉は、近代医学の発展に大きな足跡を残したSir, William Oslerが医師・医学者に向けたものです。基本知識に基づいた科学的研究の上にこそ、社会において人のために役立つ医療が実践できる。言い換えれば、人類の発展と幸せに貢献できてこそ、基礎研究の意義があり、評価されるということです。
ここでScienceは知識、経験、資質、Artは技術、技量、作品など広い意味に置き換えて考えてみてください。確固たるScienceを基盤にした、優れたArtの実践と考えてみますと、「Science, Art」は医学にとどまらず、いずれの分野においても同様の意味を持つと考えています。そしてどのような分野においても、最も大切なものが「Humanity」の精神です。研究者として、深い知識を持つスペシャリストだからこそ、人としての優しさ真摯さ、己の感性を大切にする気持ちを持ち、社会に貢献する姿勢・行動を続けてください。「Science, Art and Humanity」を忘れないでください。

日本の国立大学は、世界の中でも独自の伝統と特色を有し、優れた実績を重ねてきました。富山大学は、2005年に3大学が統合し誕生した、8学部・1研究所・附属病院をもつ大型総合大学です。本学でも、様々な専門知識を持った教職員が、これからの皆さんの大学院課程での勉学・研究について共に励み、支援いたします。研究は決して一人の力だけで成し遂げることはできません。指導者や多くの協力者の力が必要です。人との出会い、ふれあいを人生の糧としてください。

ここ富山県は、日本の中でも最も豊かな自然環境や食に恵まれ、災害も少なく、しかも世界的な実績を持つ多様な企業が多数存在する素晴らしいところです。富山大学での学びを通し、研鑽をつまれ、挑戦し、あなた自身の世界を広げてください。皆様の活躍、発展を心より祈念し、入学式の式辞とさせていただきます。

平成24年10月1日
富山大学長 遠藤 俊郎