平成24年度9月期 学位記授与式 告辞

告辞

本日、平成24年度9月期学位記授与式において、海外からの留学生9名を含め、学部卒業生14名、大学院修士課程修了生10名、同じく博士課程修了生10名、そして論文博士1名、合計35名の皆様に学位記を授与いたしました。卒業生、修了生の皆さん、ご家族の皆様、そしてご指導くださった教職員の皆様、ご卒業大変おめでとうございます。富山大学を代表して、皆様に心よりお慶びを申し上げます。

今皆様は、人生の新たなスタートラインに立っています。近年の科学・技術の目覚ましい進歩は、社会・経済構造に世界規模での変革をもたらし、人間社会は地球規模で一つの世界を考えなければならぬ時代を迎えています。コンピュータ技術の生み出したデータ収集や情報伝達能力の大きさやスピードは、人間の能力を遥かに凌駕するものとなり、これに伴い人々の考え方や生き方などその価値観も大きく変化しています。世界の潮流となっている個別的・異質的な形を是とする新たな資本主義体制の広がりの中で、日本がこれまで形成してきた画一的で平均的な生活・経済補償体制の維持は、大きな歪みと危機の時代を迎えています。
皆様がこれから生き、作り上げていく30年、40年後の世界は、現在の概念では予想のつかぬ新しい形になることでしょう。人は生きる時代を選ぶことはできません。厳しい現実に目を背けてはなりません。確固たる信念と明確な目標をもち、実現にむけた思考・行動を止めてはなりません。それが人類の持つ底力であり、人としての生き様であると信じます。これからの時代を担う皆様には、高いレベルでの科学的・文化的思考や技量、創造力あふれる人間力を発揮し、新しい歴史を作っていただくことを切望いたします。

皆様がどのような道に進まれても、そして社会・世界がどのように変化しようとも、社会人としてそして人として、皆さんに持ち続けて欲しい考え方、生き方について、3つ挙げさせていただきます。

第1は、あなた方一人一人の独創性、創造性を大切に育ててほしいということです。
富山大学の前身の一つである旧富山師範学校の校歌のなかに、「希望に溢るる新日本の伸びゆく力は我が手にあり」という一節があります。意味深い言葉です。今皆さんの前にある製品やデータは、全てが過去の知識やヒントであり、新しい発見や創造はその先にあることを忘れないでください。あなた自身だからこそできるあなただけの何かを生み出すことに挑戦してください。

第2は、会社や大学、あるいは地域・国・世界など、あなたは常に何らかの組織の一員であること、そして組織へ貢献する責任を有することを忘れないで欲しいということです。
グローバル化する世界の中では、社会・経済問題等は、単独組織での解決が困難な時代を迎えています。皆様はそれぞれがスペシャリストです。だからこそ専門の枠にこもることなく、組織としての活動・課題に対し、傍観者、批判者ではなく、当事者、推進者として関わる姿勢を大切にしてください。

第3は、人・社会とのふれあい・優しさを大切にして頂きたいということです。
人と語り合い、ふれあい、お互いの思いを感じあってください。相手を尊重し、感謝する気持ちを持ち続け、あなた自身の世界を拡げていってください。そして皆さんの住む地球の環境を守る姿勢を大切にしてください。

さて、皆さんの学んだ富山大学は、2005年に全国で唯一の3大学(旧富山大学、富山医科薬科大学、高岡短期大学)の再編・統合により誕生した大型総合大学です。新しい業績や情報を世界に発信するNational Centerとして、同時に地元に貢献できる知財と人材を提供するRegional Centerとして、その役割を果すため、既存の形を修正・改革しつつ、発展の歴史を創出する努力を続けています。皆さんも同窓生として、富山大学発展のための行動、支援を継続していただけるようお願い致します。

皆様、本日は卒業誠におめでとうございます。富山大学で学び、経験したことを糧に、世界の各地で新しい人生を拓いてください。挑戦してください。富山大学の学位記を手にされた皆様が、現代社会の一員として活躍されることを祈念し、告辞とさせて頂きます。

平成24年9月28日
富山大学長 遠藤 俊郎