2014年を振り返って(2014年 年末挨拶)

 2014年も残すところ僅かとなりました。

 皆さんにとって今年1年はどのような年であったでしょうか。個人的には、変化する科学/技術革新のなかで、世界そして日本が直面しているこれまでの歴史にはなかった社会・経済構造変革の潮流が、一段と強さを増した年であったと感じています。社会の抱える様々な格差は、以前よりも色濃くなっていることに危うさを感じます。人々の考え方や生き方など、その価値観も大きく変化しています。一方で、日本各地での豪雨・豪雪災害、火山爆発や地震、野生動物の生態系変化など、地球を取り巻く自然環境変化にも目を背ける事はできません。激しく変化する時代の中で、時代の変化や流れを読みつつも、本当に必要なのは何か、大事なものは何かを見誤らずに、確固たる信念と明確な目標を持って、前に進む必要があります。その姿勢こそが求められていることを改めて感じた1年でありました。

 時代は変化します。そして人は生きる時代を選ぶことができません。少子高齢化の中でも、世代交代は確実に進んでいます。我々世代のヒーローであった高倉健・菅原文太の両スターが相次いで世を去りました。スポーツ界や文化界で世界に挑戦し活躍する若い世代は年々確実に増えています。錦織圭・羽生結弦選手らの活躍には大いに魅せられました。一方で、個人競技に比べ、団体競技の成績はいささか残念なものだったかもしれません。個性の違う3科学者のノーベル賞同時受賞の一方で、大規模な研究不正や研究費不正も大きな話題となりました。重要な事は結果ではなく、目標達成に向けた辛抱、努力のプロセスにあると信じます。また個の力と組織の力をいかに伸ばし、融合させるか、常に課題でありましょう。

 大学を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっています。近年国は、大学の競争力強化を掲げて様々な施策や改革案を打ち出してきており、その中でも、運営費交付金の約3割を改革経費と位置付け、取組が優れた大学に重点配分する方針を示すなど、国立大学を改革の手を緩めることを許さない状況に追い込んでいます。改革が進まない国立大学は、淘汰されても仕方ないという考えも見え隠れするようになっています。大学は正に辛抱、努力の渦中に置かれています。このことは富山大学単独の問題ではなく、日本の大学教育における根本的課題であることも認識しておかねばなりません。
 富山大学は、法人化後の大学改革の流れの中で、2005年に3大学統合という全国唯一かつ最大の組織再編・改革を成し遂げた大学であります。しかし他大学が改革の議論を重ねてきたこの10年間、本学は統合故の課題を十分に克服できぬまま、その流れに大きく遅れをとってしまいました。結果として残念ながら,「富山大学は改革が遅れている大学」と評価されても致し方のない現状にあると思っています。学長としての力不足についてもご批判は多いと認識、反省しております。同時に、今こそ我々は、我々自身が積み残してきた過去の宿題を解決するため全力を尽くす時を迎えていると強く感じています。改革加速期間中である今、第3期中期計画に向け、本学における改革の議論をさらに加速していかねばなりません。教養教育改革、学部組織の再編、センター等全学組織の再編、機能強化など、これらを一体化して一気に考えることが必要です。逆手に考えれば、これまでの取組みのなかで蓄えてきた力を一気に形に変える時が、まさに今であると認識しています。
 改革を進める上で、常に全員の賛成を得られるということはないでしょう。時には痛みを伴うことも覚悟せねばなりません。意見交換を十分に行い、反対意見も鑑みながらも、目標を明確にし、決定したことを確実に実行していきたいと思います。学校教育法の改正など、国は学長のトップダウンを推し進めておりますが、学長が勝手なことをするのではなく、このように現場の意見を十分に共有し検討することが基本姿勢だと思っております。皆様も、各自の持つ知識と技量を発揮するとともに、時には己の思いは抑え,キャンパス・学部の壁を越えた連携の更なる充実・実現を目指してください。

 2015年は、富山大学にとって統合10年目の節目の年になります。この節目の年に,富山大学の真の3大学統合と継続的発展に向け、全力で取り組んでまいりましょう。漠然とした危機意識のみで現状に留まるのではなく、それぞれの力を生かし、自らのできることを見極めながら、力を合わせて共に前に進んでまいりましょう。

 新しい年の、皆様の益々のご健勝とご多幸を祈念いたします。

2014年12月
富山大学長 遠藤 俊郎