富山大学芸術文化学部案内2023
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古来より「芸術」が担ってきた役割は、「人間らしさのあり方を提示する」ことでした。だからこそ、芸術がもつ「美意識」や「独特な発想」は、企業活動から地域作りまで、社会のあらゆる場面においてそれぞれの質を高め、魅力を創り出す原動力になってきました。しかし、近年のICTの発展に端を発する急激な産業革新と社会の変容は、日々の生活のみならず、生きる価値についてまで、人々にあらたな順応を求めています。ならば、これから求められる芸術の役割は、「次の世代にふさわしい、魅力ある人間らしさの提示」です。その担い手となるのが、芸術なのです。地方の駅前では空き店舗が目立ち、伝統産業では、後継者不足による衰退が深刻な問題になり、まちの人々は永きに渡る祭事の継承に悪戦苦闘しています。伝統的な産業や文化と、情報化された現代社会との交差点で生まれる切実な課題が地方にはいくつもあります。そんな地方の現実を教材として捉え、モノだけでなく体験に価値を求めるコト、それらが総合的に展開されて生まれる「文化」を、地域のみなさんと共に考え、世界へ発信していきたいと考えています。日本が世界に向けて発信すべきは文化なのです。日本が進むべき次の世代へ向けたビジョン。表紙作品:「目覚める」/吉野瑞穂(2020年度卒業)左頁作品:「日本 -典型と現実-」/吉﨑有美(2020年度卒業)01

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