未来を拓く:おもしろい授業・おもしろい研究

考古学実習(1)

掲載内容は当時のものです。

考古学というと、エジプトのピラミッドやインカ帝国のマチュピチュなどの遺跡を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。あるいは、財宝探しのようなことを想像するかもしれません。高校の日本史や世界史の授業の中で古い時代の事柄を学習することはありますが、考古学が体系的に学べるのは大学に入ってからになります。

富山大学人文学部で、この考古学という学問を学んでいく上で欠かせない授業の一つが、考古学実習(1)です。屋内での受講が中心の講義や演習に対して、考古学実習(1)は屋外で、野外調査に用いる機材を実際に使いながら知識や技術を身につけていくとてもユニークな授業です。受講生は、大学に入って考古学を学びはじめ、専門研究分野にするようになった2年生が中心です。

授業ではオートレベルや平板測量器、トータルステーションと呼ばれる機材などを実際に使ってみます。

オートレベルの実習風景

オートレベルの実習風景

機材の扱い方に慣れてきたら、次に受講生どうし協力しながら地形測量図を作成します。さらには、遺跡から見つかった土器などの出土状況や土塁のような構築物、地層断面などに関して図面の描き方を学んでいきます。

また、より実践的な知識や技術の修得を目指して、発掘調査や測量調査などの活動を行うことがあります。富山大学には、杉谷キャンパスの中に縄文時代から古墳時代にかけての遺跡が数多くあり、その中の杉谷古墳群を対象に学術調査を兼ねて調査を行っています。

杉谷古墳群の発掘調査(調査終盤で図面を描いているところ)

杉谷古墳群の発掘調査(調査終盤で図面を描いているところ)

今からおよそ1500~1800年前のもので、土器などの出土品が多数見つかりました。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響が広まった2020年には、過去の調査で見つかった土器を直接手に取って、表面の整形方法や、製作方法を裏側からじっくりと観察したほか、時間をかけて図面を描く調査を行いました。

出土品の図面を描く調査をしているところ

出土品の図面を描く調査をしているところ

他の授業とはずいぶん様子の違うことがお分かりいただけたでしょうか。考古学の野外調査に関する知識や技術はたくさんあるので大変かもしれませんが、着実に身につけられるよう心がけて指導しています。未来の考古学者がここから育っていくことを願っています。