未来を拓く:おもしろい授業・おもしろい研究

クルマ社会の地方都市に「歩く」都市を創り出す体系的な計画手法

掲載内容は当時のものです。

市民が歩くことを楽しむ都市では、都市の密度は適度に維持され、住民は身近な生活空間の中で、活動的で健康的な生活を手にすることができます。そこで私は、歩く機会が減り車中心のライフスタイルが習慣化してしまった地方都市を、「歩く」都市へと更新していくために必要な計画手法を研究しています。日本の地方都市の中では、いち早く公共交通を重視する都市へと舵を切った富山市ですが、市民アンケート調査[1]や、実際に自分で調査をした結果をみると、まだまだ、まちを歩いている人は多くありません。

赤色は市内各所から徒歩+公共交通で30分以内に
アクセスできる市民の割合が高いところ

赤色箇所には新たに自由通路も整備され
歩行者のための空間が創出された(写真は富山市提供)

「歩く」都市を実現するには、あらゆる機会を通じて都市空間を歩行者の視点で見直し、更新していくことが必要だと私は考えています。特に今コンパクトシティ政策を進めている地方都市に対しては、マクロな都市構造と、ミクロな街路空間デザインを、別々の政策として進めるのではなくて、戦略的に連携させることを提案しており、その有用性を富山市等のケースを用いて検討しています。

富山駅周辺エリアで実施した歩行経路インタビュー調査の様子

GPS付カメラを用いた全経路の歩行実態調査の様子

都市行政の実務経験を踏まえて、地方の実情に即した、実務に使える研究を心がけています。令和3年4月からは研究室も立ち上がります。これからを生きる学生と一緒に研究することが楽しみです。

高柳 百合子 先生