未来を拓く:おもしろい授業・おもしろい研究

古典との対話

掲載内容は当時のものです。

私の研究分野は、日本倫理思想史といって、倫理学の一分野です。倫理学とは、端的に言えば、人はいかに生きるべきかを探究する学問です。人は何をよりどころとし、何を求めて生きてきたのかについて、主に日本の思想を素材として、研究しています。

素材として扱うのは、日本の古典です。がっちりとした思想書だけでなく、文学作品などもその対象となります。というのは、ジャンルがどうあれ、そこに古人が真摯に取り組んだ跡があれば、それらがすべて、対象になるからです。「先人たちはどう考えたのか、またどのように生きようとしたのか」を丹念になぞり返しつつ、そこに現れた問題を共有し、自分の問題としても考えること、これが私の目指す「古典との対話」です。

この対話を可能にするためには、ある程度の道筋を示す必要があります。古人が示した知の光をできるだけ共有可能なものにするべく、その光を辿る術を提示することが、私の研究のねらいです。換言すれば、対話の道筋を明らかにし、私たちの共有財産として伝えていくことを目指しています。

次に、具体的な研究活動を一つ、挙げておきます。富山日本倫理思想史研究会を運営し、不定期に文集を刊行して、研究発表をしています。なおその成果は、著書の形にまとめてもいます。

富山日本倫理思想史研究会の文集

著書

繰り返しますが、テキストと向き合うとは、テキストを書いた古人との真摯な対話です。その対話は、現代に生き、未来へと生をつなぐ私たちにとって、私たち自身の生を豊かにする、有意義なものとなるはずです。その対話を通してこそ、私たちは、生きるための力を涵養できるのです。この営みが私たちの生の根っこを強靱なものにしていくことに少しでもつながればと、願っています。