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リンパ管腫の発症・増悪メカニズムを解明

富山大学 大学院医学薬学教育部生命・臨床医学専攻総合口腔科学講座の吉田尚史 大学院生(当時、現在歯科医師)、山本誠士 講師、笹原正清 教授らは、血小板由来増殖因子受容体ベータ (PDGFRβ) の発現が抑制される遺伝子改変マウスを用いたリンパ管新生の解析を行い、嚢胞状のリンパ管ができることを発見しました。

詳細な分子メカニズムを解析した結果、リンパ管周囲に存在するPDGFRβノックアウト線維芽細胞が過剰なAmphiregulinを分泌しており、リンパ管内皮細胞に発現しているEGFRがAmphiregulinを受容することで活性化し、嚢胞状のリンパ管を形成することを解明しました。

さらにヒトでは、難病指定されている嚢胞性リンパ管腫の組織解析を行い、リンパ管周囲の線維芽細胞が過剰なAmphiregulinを分泌していることを確認しました。これらの結果から、線維芽細胞が分泌するAmphiregulinは、嚢胞性リンパ管腫の発症・増悪にかかわる重要な分子であることが明らかとなりました。

この研究成果は、米国科学雑誌「PNAS」にアメリカ東部標準時間の2021年5月3日(日本時間:5月4日)に掲載されました。

プレスリリース [PDF, 425KB]