TOPICS

富山大学の抗体取得独自技術を用いて新型コロナウイルス抗原迅速検査キットの開発に成功

富山大学 学術研究部工学系の磯部正治教授と黒澤信幸教授の研究グループは、東洋紡(株)と共同で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のイムノクロマト法による抗原迅速検査キットを開発し、このたび厚生労働省より製造販売承認を取得しました。

新型コロナウイルスの感染制御には、ウイルスを排出している人を迅速に見つけて隔離することが非常に重要です。その切り札は抗原検査キットの開発です。これまでの抗原検査キットでは測定に時間が掛かる(30分)、感度が低い、偽陽性が発生するなどの課題がありました。これらの課題を改善する鍵は、高い特異性と結合能を兼ね備えた抗体をいかに取得するかにありました。

富山大学では、独自開発の抗体取得技術を用いて、免疫された動物からわずか1ヶ月で新型コロナウイルス抗原と反応する目的抗体を数百種類単離し、それらを利用することで高性能な新型コロナウイルス抗原検査キットの開発に成功しました。

この抗原検査キットは、鼻咽頭ぬぐい液、並びに鼻腔ぬぐい液中の新型コロナウイルス抗原の有無を15分で検査できます。特別な診断機器を必要としないことから、幅広い医療施設で、迅速な検査が可能となります。

本キットの開発には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成31年(令和元年)度 「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」(2次公募)(研究開発課題名「SARS-CoV-2の臨床現場即時検査法開発に関する研究」)の支援を受けました。国立感染症研究所 感染病理部(鈴木忠樹 部長)と富山大学 学術研究部工学系(磯部正治 教授、黒澤信幸 教授)ならびに東洋紡(株)との共同研究で基本性能評価試験を実施し、京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学 (松村康史 准教授)と東洋紡(株)との共同研究にて臨床性能評価試験を実施しました。

プレスリリース [PDF, 193KB]