水中ドローンを用いた、富山湾南部における「海底地すべり」跡の直接観察~令和6年能登半島地震時の津波と漁業被害の実態解明を目指して~
本研究のポイント
・神通川河口沖合の海底谷で海上保安庁が報告した大規模崩壊痕跡の範囲において、高低差数十mに及ぶ水中ドローン探査を行い、令和6年能登半島地震によると思われる比較的規模の大きな「海底地すべり」(海底斜面の崩壊)が起こったことを映像で確認した。
・庄川・小矢部川河口沖合の海底谷においても同様の探査を行い、多数の地点で、最近発生した崩壊の痕跡を確認した。この中には、神通川と同様の大規模な崩壊も含まれる。
・両地域とも、大規模な崩壊と判断される地点では、急斜面にほぼ垂直な崖が連続し、崖の下端や谷底にはブロック状に砕けた、新鮮な断面を持つ岩石が散在する。また、一部の崖の壁面では大規模な開口割れ目が観察された。
・これらの大規模な崩壊は、半固結状態の陸源性砕屑岩層からなる岩盤(地層)が、地震により崩落あるいは深層崩壊を起こしたものと考えられる。
・庄川・小矢部川河口沖合のシラエビ(白エビ)産地周辺でも、「海底地すべり」により、海底の様相が大きく変化していることが初めて映像で確認された。
研究概要
国立大学法人富山大学(以下:富山大学)は、2024年10月24日から12月4日のうち、5日間、神通川河口沖合および庄川・小矢部川河口沖合において、海底斜面の水中ドローン探査を実施し、多数の「海底地すべり」の痕跡を直接撮影することに成功しました。本調査は富山大学が主導し、京都大学と金沢大学の研究者が参加しました。
研究内容の詳細
水中ドローンを用いた、富山湾南部における「海底地すべり」跡の直接観察~令和6年能登半島地震時の津波と漁業被害の実態解明を目指して~[PDF, 1MB]
論文情報
論文名
Detecting submarine landslides caused by the 2024 Noto Peninsula Earthquake through repeat bathymetric surveys in Toyama Bay, Japan
著者
Hiroki Minami, Kanata Umino, Ryo Tateishi, Noriko Kawamura and Noritsune Seo
掲載誌
Landslides
DOI
https://doi.org/10.1007/s10346-024-02434-2
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富山大学 学術研究部都市デザイン学系
准教授 立石 良
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