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エピソード記憶能力を簡単かつ高精度に計測できるスマートフォンアプリを産学共同開発

本研究のポイント

・これまで大がかりな測定システムでしか行えなかった、エピソード記憶※1(出来事に関する長期記憶)能力を、誰でも・いつでも・どこでも高精度に検査できるスマートフォンアプリを開発し、その特許が登録された。
・本アプリには、エピソード記憶能力の加齢性減退を緩和する行動変容を促すインストラクション機能も搭載されており、実用化されれば、高年齢者の生活の質向上や生涯現役社会の実現に大きく寄与できると期待される。

研究概要

 エピソード記憶(出来事に関する長期記憶)能力は、人間の高度な認知機能を支える重要な要素ですが、加齢によって減退します。近年、少子高齢化による労働力不足が深刻化する一方で、あらゆる産業の知識集約化が進んでいます。そのため、高年齢層のエピソード記憶能力の減退が新しい技術の習得を妨げ、生涯現役社会の実現を阻む要因となっています。こうした課題に対応するためには、各個人がエピソード記憶能力の加齢による減退に早い段階で気付き、早期に減退を緩和する行動変容(例:有酸素運動を日常生活に取り入れるなど)に取り組むことが重要です。
 我々がキュアコード株式会社と共同開発した本アプリは、従来、大がかりな測定システムが必要だったエピソード記憶能力の検査を、誰でも・いつでも・どこでも実施できるようにしました。また、本アプリには、エピソード記憶能力の減退を緩和するために適切な運動強度の有酸素運動を指示する機能も備えています。
 このたび、本アプリの特許が登録されました。今後、本アプリが実用化されれば、高年齢層の生活の質が大幅に向上し、生涯現役社会の実現にも貢献できると期待されています。
 本研究の成果は、特許(特許第7583773号)として登録されました。なお、特許に関連する学術的成果は「Medicine」に 2023年10月27日に掲載されています。

用語解説

※1)エピソード記憶
出来事に関する長期記憶の一つであり、人間で特に発達している認知機能の一つ。エピソード記憶から抽出される形でものごとの理屈などを含む意味記憶が形成される。エピソード記憶能力は記憶能力の中でも加齢による影響を受けやすく、エピソード記憶能力は認知機能の減退を鋭敏に検出する指標としても重要である。

研究内容の詳細

エピソード記憶能力を簡単かつ高精度に計測できるスマートフォンアプリを産学共同開発[PDF, 341KB]

お問い合わせ

富山大学 学術研究部工学系
教授 田端 俊英

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