糖尿病発症前の体重変化に新たな傾向を発見 — 肥満でない人では減少するケースも —
ポイント
- 富山県で実施された特定健診のデータを解析した結果、糖尿病※1)を発症する前の体重変化に、肥満かどうかによって異なる傾向があることが明らかになりました。
- 肥満の人では、糖尿病発症前に体重が平均的に増加していましたが、肥満でない人では、発症前の体重が平均的に減少傾向にありました。
- さらに、肥満でない人の中では、発症前に体重が減少した人の方が、増加した人よりも有意に多いことも分かりました。
- これまで糖尿病は、体重の増加とともに発症すると考えられてきましたが、今後は、やせ型で体重が減少傾向にある人も糖尿病発症に注意する必要があることが示唆されました。
- TEL: 076-434-7605
- E-mail:
- TEL: 076-434-7219
- E-mail:
概要
富山大学未病研究センターの研究グループは、富山県で実施された特定健診のデータ(北陸予防医学協会提供)を解析し、糖尿病を発症する前の体重変化に、肥満かどうかによって異なる傾向があることを明らかにしました。肥満の人では、糖尿病発症前に体重が平均的に増加していましたが、肥満でない人の中には、糖尿病の発症前に体重が減少するサブタイプがいることが明らかとなりました。これまで糖尿病は、体重の増加とともに発症すると考えられてきましたが、今後は、やせ型で体重が減少傾向にある人も糖尿病発症に注意する必要があることが示唆されました。
本研究成果は、「Endocrine Journal」に 2025 年9月25日(日本時間)に掲載されました。
用語解説
※1)糖尿病
血糖値が慢性的に高い病気。新しい呼称「ダイアベティス」が提案されているが、本稿では一般的な「糖尿病」とした。
研究内容の詳細
糖尿病発症前の体重変化に新たな傾向を発見 — 肥満でない人では減少するケースも —[PDF, 364KB]
論文情報
論文名
Characterization of individuals in whom body weight loss precedes diabetes onset: a retrospective, observational, longitudinal cohort study based on health checkup in Japan
著者(論文投稿時の所属)
四方 雅隆1, 奥 牧人2,3, 福原 志音4, 伊藤 遼5, 春木 孝之3,6, 上田 肇一3,7, 木村 巌3,7, 寺元 剛8, 中條 大輔9, 岩田 実1,10, 山上 孝司11, 永田 義毅11, 門脇 真3, 戸邉 一之1,3
1 富山大学 医学部 第一内科
2 富山大学 和漢医薬学総合研究所
3 富山大学 未病研究センター
4 富山大学大学院 理工学教育部
5 富山大学大学院 理工学研究科
6 富山大学 学術研究部 都市デザイン学系
7 富山大学 学術研究部 理学系
8 富山大学 附属病院 臨床研究開発推進センター
9 国際医療福祉大学 医学部 糖尿病・代謝・内分泌内科
10 富山大学 医学部 人間科学講座
11 一般財団法人 北陸予防医学協会 予防医学研究室
掲載誌
Endocrine Journal
DOI
https://doi.org/10.1507/endocrj.EJ25-0230