内側前頭前皮質が「行動ルール」を時間的な神経活動シーケンスとして符号化することを発見
―マウスの報酬学習過程から、意思決定を支える脳のダイナミクスを解明―
概要
富山大学学術研究部医学系 生化学講座の大野駿太郎助教、野本真順准教授、井ノ口馨教授らの研究チームは、マウスを用いた報酬学習課題において、脳の内側前頭前皮質が「手続き的ルール(procedural rule)」を時間的に連続する神経活動シーケンス(neuronal sequence)として表現していることを明らかにしました。本成果は、複雑な行動の背後にある脳の柔軟な学習メカニズムを解き明かすものであり、将来的には人工知能やロボット工学、さらには神経疾患の研究など、幅広い分野への応用が期待されます。
本研究成果は、オープンアクセス誌「Molecular Brain」に2025年7月1日付で掲載されました。
用語解説
(※1)神経活動シーケンス
常に一定の順番で活動する、神経細胞のグループのこと。それぞれの神経活動が活動する相対的なタイミングが決まっているため、神経活動データを適切な順番で並べると、斜めの縞模様のように見える。
(※2)in vivo Ca²⁺イメージング法
生きた動物の脳内で、神経細胞の活動をリアルタイムに記録する方法。神経細胞にカルシウム感受性蛍光蛋白質(例:GCaMP)を発現させることで、神経細胞の活動に伴うカルシウムイオン(Ca2+)の濃度変化を、蛍光輝度の変化として計測することができる。
研究内容の詳細
内側前頭前皮質が「行動ルール」を時間的な神経活動シーケンスとして符号化することを発見 ―マウスの報酬学習過程から、意思決定を支える脳のダイナミクスを解明―[PDF, 338KB]
論文情報
論文名
The medial prefrontal cortex encodes procedural rules as sequential neuronal activity dynamics
著者
大野 駿太郎, 野本 真順, 井ノ口 馨
掲載誌
Molecular Brain (Springer Nature)
DOI
https://doi.org/10.1186/s13041-025-01230-w
お問い合わせ
富山大学学術研究部医学系(医学)生化学講座
助教 大野 駿太郎
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