TOPICS

微小ゲノム素子・マイクロエクソンが行動を調節する
〜わずか4アミノ酸ペプチドの使い方が行動を左右することを発見〜

ポイント

  • マイクロエクソンは3-27ヌクレオチドの極めて小さいエクソンであり、選択的スプライシングによって取捨選択されてmRNAに取り込まれ、タンパク質の機能を調節する微小ゲノム素子です。
  • シナプスの形成と再編を担うシナプスオーガナイザー遺伝子Ptprdは3つのマイクロエクソンを持ち、それらは遺伝的なプログラムと環境依存的なプログラムによって選択的スプライシングをうけることを発見しました。
  • Ptprd遺伝子の1つのマイクロエクソンの遺伝的な選択的スプライシングプログラムを操作したマウスは感覚、運動、情動、社会性など広範な行動に大きな異常が出ることを見出しました。
  • 同じPtprd遺伝子のマイクロエクソンの環境依存的な選択的スプライシングプログラムを操作したマウスはある種の学習と記憶のみに異常が出ることを発見しました。

概要

 富山大学学術研究部医学系・今井彩子博士(現、麻布大学准教授)、吉田知之准教授らの研究グループは、シナプス※1の形成と再編を担う遺伝子のもつ極めて小さいエクソン(マイクロエクソン)※2の使い方が、感覚、運動、情動、社会性、学習、記憶などの広範な行動調節の鍵となることを発見しました。マイクロエクソンの調節異常と精神疾患や神経発達障害との関連が示唆されていましたが、マイクロエクソンの使い方がどのように調節されるのか、どの遺伝子のマイクロエクソンが行動調節を担うかなど、これまで多くが不明でした。今回の知見は、精神疾患や神経発達障害の発病機構の解明に繋がるだけでなく、高度で複雑なヒトの脳機能や個性を作り出す仕組みの解明に繋がるものとして期待されます。
 本研究成果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に 2026年4月9日(木)(日本時間5:00)に掲載されました。

用語解説

※1)シナプス
神経細胞の間で形成される接着構造で、神経細胞間の信号伝達を担っています。脳の発達期に作られ、神経細胞のさまざまな活動等によって繋ぎ替えられます。

※2)マイクロエクソン
デオキシリボ核酸(DNA)の塩基配列のうち、最終的に成熟mRNAに含まれ、タンパク質の合成に関わるDNA配列部分をエクソンと呼びます。平均的なエクソンの長さはおよそ150塩基対ですが、3ー27塩基対の特に短いエクソンをマイクロエクソンと呼びます。

研究内容の詳細

微小ゲノム素子・マイクロエクソンが行動を調節する 〜わずか4アミノ酸ペプチドの使い方が行動を左右することを発見〜[PDF, 617KB]

論文情報

論文名

Alternative microexon splicing code for a four-amino-acid peptide of PTPRD governs behavioral development

著者

Ayako Imai, Hironori Izumi, Nagomi Ito, Hina Ogiso, Yuki Kitajima, Shuhei Kawase, Mizuki Sendo, Kenji Azechi, Toshihide Tabata, Yumie Koshidaka, Shuya Fukai, Keizo Takao, Hisashi Mori, Tomoyuki Yoshida

掲載誌

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (2026年4月9日オンライン掲載)

DOI

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2515310123

お問い合わせ

富山大学学術研究部医学系
准教授 吉田 知之

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