ビスマス触媒を用いた酸化的カップリング反応により 天然アルカロイドintegerrine類の全合成を達成 ― 酸素に不安定なビアリールアルカロイドの効率的合成法を開発 ―
ポイント
- ビスマス(注1)触媒を用いた酸化的ホモカップリングおよびクロスカップリング反応(注2)を鍵工程として、天然物(±)-integerrine Bの全合成と、(±)-integerrine C–Fの世界初の全合成を達成しました。
- 従来、酸素に不安定なため効率的な合成が困難であったビアリールアルカロイド類(注3)に対する新たな合成戦略を確立しました。
概要
富山大学学術研究部薬学・和漢系(分子合成化学研究室)の笠間建吾助教、矢倉隆之教授らの研究グループは、ビスマス触媒を利用した酸化的カップリング反応を開発し、アルカロイドである(±)-integerrine Bの全合成および(±)-integerrine C–Fの初の全合成に成功しました。 Integerrine類は2種の3-ヒドロキシカルバゾールが直接結合した二量体型ビアリール骨格をもち、細胞毒性を示すことから創薬研究において興味を持たれています。しかしながら、酸素などによる酸化分解を受けやすく合成が難しいことから、新しい効率的な合成法の開発が望まれていました。 本研究では、ビスマス触媒を用いて、3-ヒドロキシカルバゾール類の高い化学選択性および位置選択性(注4)を示す酸化的ホモカップリングおよびクロスカップリング反応を開発しました。そして、複数の天然物integerrine類を短工程で合成することに成功しました。 本研究成果は、「Organic Letters」に 2026 年 5 月 14 日(木)(日本時間)に掲載されました。
用語解説
※1)ビスマス(Bi)
原子番号83。低毒性かつ安価な金属元素として知られる。
※2)ホモカップリング
同一の化合物同士を連結すること。
クロスカップリング
異なる化合物を連結すること。
※3)ビアリール
二つの芳香族環が炭素–炭素結合で直接結合した構造
アルカロイド
窒素原子を含み、主に塩基性を示す天然化合物
※4)化学選択性
化学反応において特定の反応が優先的に進行する性質
位置選択性
反応が特定の位置で起こる性質
研究内容の詳細
ビスマス触媒を用いた酸化的カップリング反応により 天然アルカロイドintegerrine類の全合成を達成 ― 酸素に不安定なビアリールアルカロイドの効率的合成法を開発 ― [PDF, 391KB]
論文情報
論文名
Total Synthesis of (±)-Integerrines B–F via Bismuth-Catalyzed Oxidative Homo- and Cross-Couplings of 3-Hydroxycarbazoles
著者
戴浩陽(Haoyang Dai), 梅澤光翼(Kosuke Umezawa), 矢倉隆之(Takayuki Yakura)*, 笠間建吾(Kengo Kasama)*
掲載誌
Organic Letters
DOI
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.orglett.6c01363
お問い合わせ
富山大学学術研究部薬学・和漢系 助教 笠間建吾
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