専攻紹介

認知・情動脳科学専攻(4年制)

近年、長寿社会における認知症や、青少年の情動や行動異常による問題が増加しています。脳は、遺伝子誘導される種々の分子、胎内環境、出生後の外界(社会的)環境など様々な要因の影響下で一生涯発育していく唯一の器官です。これら脳内の物質的過程の異常が、情動や行動の異常をもたらし、逆に情動や行動異常は、これらの物質的過程に影響を及ぼして脳構造だけでなく身体生理機能をも変化させます。

本専攻では、先進諸国で急速に問題化しつつある精神障害や情動・行動異常について、分子・細胞・システム行動レベルにおける基礎医学の各専門分野や、臨床医学、人文社会学を含む学際的な研究アプローチから俯瞰し、自ら対処できる高度医療人や先端的な脳科学者を育成することを目的としています。

生体情報システム科学専攻(3年制)

「ポストゲノム時代」における生体システムの機構解明では、生体内で同時に進行している現象を多面的に観察し理解する必要性が高まっています。また遺伝子診断やオーダーメード医療に代表される、これからの標準的医療システムにおいても、莫大な情報を効率よく取得し、解析、理解するための方法論の開発が求められています。さらにライフサイエンスの急速な発展に呼応して、高齢化福祉社会、健康増進社会に即応しえる新たな生体システム科学、知能情報工学や医工学の発展が求められています。

このような背景の中、本専攻では、時々刻々進む複雑な生命現象の過程とその機構や未解明の遺伝子情報やその発現・制御機構を、主に分子、細胞から組織レベルで研究し、解明する先端生命科学研究者を育成します。

また、そのミクロな生体内情報処理メカニズムに関する最新の知見に基づき、生体機能計測、医療計測、環境計測を行う機器、また生体機能支援機器などを設計開発できる最先端研究者、高度技術者あるいは、高度医療機器や最先端の情報工学を理解し活用できる高度技術者や薬剤師を育成します。さらに認知・情動脳科学専攻とも連携して生体情報システムとしての脳神経ネットワークに関する最新知見や分野横断的解析法を修得し、神経疾患の予防や治療薬開発に携わる創薬科学者及び次世代の知能情報工学、脳型コンピュータ、ヒューマンインターフェイスなどの設計・開発に寄与する人材の育成を目指します。

本専攻では、医学系(兼担)、薬学系、生物学系、生命工学系、生体工学系、情報工学系の教員が連携して、このようにミクロレベルでの生体情報システムの解明と、その応用に関する最新教育を行います。

先端ナノ・バイオ科学専攻(3年制)

ゲノム、ポストゲノム研究の進展とナノ科学の興隆を背景に、ゲノム及びポストゲノム情報を基盤とする生命科学領域研究の成果と、分子設計技術の連携による創薬科学の発展が画期的な新規医薬品や生理活性物質の創成を推進する上で重要な社会的要請となってきています。この世界的な医療高度化の流れに対応し、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーをはじめとする先端的研究を学際的に集約し、産学官でこれまで以上に連携できる人材を育成することが不可欠です。さらに、この社会性が極めて高い新融合領域を担う、指導的立場の人材を育成することも、新しい時代を迎えた大学に課せられる急務の使命です。また、生命体における恒常作用、疾病、薬理活性はナノスケール領域の生体内分子集合体や高分子化合物の構造、物性、反応メカニズムが複雑に関連して発現されます。したがって、生理作用を解明し、効果的な薬理作用を有する薬剤を開発するためには、ナノスケール領域における分子論的研究が不可欠です。

そこで本専攻では、高機能性バイオナノ界面の構築とその新機能開発、生命体組織を構成するナノスケール分子集合体および高分子の機能開発、天然及び人工生理活性化合物の合理的合成、機能性π電子共役有機化合物の新規合成とナノスケール領域で発現する新機能の開発、微量金属イオンの関与する生理生活や酵素・触媒作用機構の解明と新規活性の開発、ケミカルバイオロジーを中心に、今後確実に必要とされる、医学・薬学分野と生命科学・物質科学分野との接点あるナノ・バイオ領域科学を担う先端研究者を養成することを目的として、教育・研究指導を行います。