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高齢者の認知症において配偶者と一緒にいない状況は認知症のリスクが高まる

敦賀市立看護大学の中堀伸枝講師(富山大学大学院卒)、富山大学地域連携推進機構地域医療保健支援部門山田正明助教、関根道和教授らは、 平成26年に富山県が実施した富山県認知症高齢者実態調査から認知症に関する分析を行い、認知症に対するオッズ比(リスク指標)は年齢が高いほど非常に高くなりますが、配偶者と一緒にいない状況(死別が88%、他に離婚、未婚)も認知症と関連することを明らかにしました。配偶者と一緒にいない人の認知症に対するオッズ比は配偶者といる人(同居と施設入所を含む)に比べ1.71倍でした。(図1)

図1

また、生活習慣病との関連では、配偶者といる人と比較して、配偶者と一緒にいない人の脳卒中に対するオッズ比は1.81倍でした。その他の生活習慣病との関連はみられませんでした。(図2)

図2

配偶者と死別すると生活習慣が悪くなることが報告されています。さらに、死別は人生における最大のストレスとされ、精神状態が悪化しやすくなると言われています。死別者は、脳卒中などの生活習慣病になることや精神状態の悪化から、認知症になりやすくなることが考えられました。今回の研究結果から、高齢期の認知症への対策として、死別などの婚姻状況の変化にも注意をむけていくことが重要であることが分かりました。

調査結果の詳細は、5月25日に日本老年精神医学会の機関誌Psychogeriatricsに掲載されました。

プレスリリース [PDF, 281KB]