能登半島北部沿岸海域の海底で、令和6年能登半島地震を引き起こした活断層の複数回の活動によって形成された断層崖の撮影に成功
ポイント
・能登半島北部沿岸海域では、海上保安庁の海底地形解析により、令和6年能登半島地震後の大規模な海底変動が報告されており、地震を起こした海域活断層が海底を変形させた(断層よりも南側が隆起した)とされている。今回、この海域において水中ドローン探査を行い、海域活断層の活動により形成された崖地形(断層崖)を映像で確認した。
・この崖は南側が相対的に約12 m 高く、東西方向に連続する。崖の位置および連続する方位は、既知の海域活断層分布に沿っており、南側が相対的に隆起する運動像は、令和6年能登半島地震前後の各種解析の結果と一致する。これらのことから、この崖地形は海域活断層の活動により形成されたものと考えられる。
・この崖は、3 つの明瞭な段差を有する急斜面からなり、下位と中位の段差の基部には、ブロック状に砕けた、新鮮な断面を持つ岩石が散在する。また、中位と上位の段差は明瞭な壁面をもつ。段差のうち、その一部(主に下位と中位の段差をあわせて、落差の合計約5m)は、その態様から比較的最近形成されたものとみなせ、令和6年能登半島地震時に変位した可能性が高い。一方、上位の段差の大部分は最近形成された証拠に乏しく、令和6年能登半島地震前から存在していたものと考えられる。すなわち、この崖は、最新活動を含めた、海域活断層の繰り返し活動に伴う累積的な変位を記録していると解釈される。
・本調査により、令和6年能登半島地震を引き起こした海域活断層の最新活動と累積変位の両方が初めて映像で確認された。
概要
国立大学法人富山大学学術研究部都市デザイン学系 立石 良准教授・佐野 晋一教授らの研究グループ(以下:富山大学)は、金沢大学理工研究域地球社会基盤学系 ロバート・ジェンキンズ准教授や同大学環日本海域環境研究センター 鈴木 信雄教授らとの共同研究の一環で、2025 年7 月19 日から7 月20 日に、石川県輪島市曽々木沖において、海底の水中ドローン探査を実施し、令和6年能登半島地震を引き起こした海域活断層の活動の痕跡を直接撮影することに成功しました。
研究内容の詳細
能登半島北部沿岸海域の海底で、令和6年能登半島地震を引き起こした活断層の複数回の活動によって形成された断層崖の撮影に成功[PDF, 3MB]
ダイジェスト動画
TOYAMA BAY Lab 公式チャンネルでダイジェスト動画を公開しています。
https://youtu.be/QaIw5PgXZkc
お問い合わせ
富山大学学術研究部都市デザイン学系
准教授 立石 良(たていし りょう)
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