TOPICS

家庭内粒子状物質(PM)濃度と川崎病発症との関連
―エコチル調査(詳細調査)からの研究成果―

概要

 エコチル調査富⼭ユニットセンター(富⼭⼤学)吉岡英治教授らの研究チームは、エコチル調査(詳細調査)のデータを⽤いて、家庭内の空気中微粒⼦(PM)と川崎病発症との関連を検討しました。3,848 組の⺟⼦を対象に、幼児期の家庭内PM 濃度(PM2.5およびPM10–2.5)を1.5 歳と3 歳の2 時点で測定し、6 歳までの川崎病発症との関連を解析しました。
 その結果、⽐較的⼤きな粒⼦であるPM10–2.5 については、濃度が⾼い家庭ほど川崎病の発症が少ない傾向が⼀貫してみられました。微⼩粒⼦(PM2.5)についても同じ⽅向の傾向がみられましたが、PM10–2.5 と⽐べて弱いものでした。また、2 時点で測定したPM 濃度には中程度の相関がみられ、家庭ごとのばく露レベルに⼀定の持続性があることが⽰唆されました。
 本研究は、幼児期の家庭内PM 濃度と川崎病発症との関連を⽰したものです。ただし、本結果は「粒⼦が多いほど川崎病を予防できる」ことを意味するものではありません。家庭内PM 濃度が、住環境や⽣活習慣など、家庭ごとの複合的な環境要因を反映している可能性があります。また、川崎病の発症例は59 例と限られていたため、今後、より⼤規模な集団での検証や、PM の発⽣源・成分を含めた詳細な研究が求められます。
 本研究の成果は、Elsevier 社が刊⾏する衛⽣学と環境保健分野における国際的学術誌「International Journal of Hygiene and Environmental Health」に、令和8 年9 ⽉11⽇付で掲載されました。
 ※本研究の内容は、すべて著者の意⾒であり、環境省及び国⽴環境研究所の⾒解ではありません。

ポイント

  • 各家庭の室内における粒子状物質(PM)(*1)の濃度を測定しました。
  • 約3,800組の母子を対象として、6歳までの川崎病発症との関連を検討しました。
  • 室内PM濃度は、同一家庭内において一定の時間的持続性を示しました。
  • PM10–2.5(*2)は川崎病発症と逆方向の関連を示しました。
  • PM2.5(*3)は弱いながらも、PM10–2.5と同方向の関連を示しました。
  • これらの結果は、家庭内PM濃度と川崎病発症との関連を、さらに検討する必要性を示すものです。
用語解説

(*1)粒子状物質(PM)
空気中に浮遊する非常に小さな粒子の総称で、ほこり、煙、花粉、微生物由来物質などが含まれます。粒子の大きさによって健康への影響が異なることが知られています。

(*2)PM10–2.5
直径10マイクロメートル以下かつ2.5マイクロメートルより大きい粒子を指します。主に上気道(鼻や喉)に沈着しやすく、花粉や土壌由来粒子、微生物成分などを含むことがあります。

(*3)PM2.5
直径2.5マイクロメートル以下の非常に小さな粒子を指します。肺の奥深くまで到達しやすく、大気汚染の指標として広く用いられています。

研究内容の詳細

家庭内粒子状物質(PM)濃度と川崎病発症との関連
―エコチル調査(詳細調査)からの研究成果―[PDF, 408KB]

論文情報

論文名

Household-specific indoor PM2.5 and PM10–2.5 concentrations and Kawasaki disease onset by age six: the Japan Environment and Children’s Study

著者

Kenta Matsumura1,2,3, Hidekuni Inadera2,3, Megumi Kushima4, Akiko Tsuchida2,3, Chiharu Ota5, Eiji Yoshioka2,3, The Japan Environment and Children’s Study (JECS) Group**
1 松村 健太:所属 青森県立保健大学 健康科学部 健康科学総合教育部門 疫学・精神栄養研究室
2 松村 健太、稲寺 秀邦、𡈽田 暁子、吉岡 英治:所属 国立大学法人 富山大学 エコチル調査富山ユニットセンター
3 松村 健太、稲寺 秀邦、𡈽田 暁子、吉岡 英治:所属 国立大学法人 富山大学医学部 公衆衛生学講座
4 久島 萌:所属 国立大学法人 山梨大学大学院 総合研究部附属 出生コホート研究センター
5 大田 千晴:所属 国立大学法人 東北大学大学院医学系研究科 発達環境医学分野,エコチル調査宮城ユニットセンター
** JECS Group:エコチル調査運営委員長(研究代表者)、コアセンター長、メディカルサポートセンター代表、各ユニットセンターから構成

掲載誌

International Journal of Hygiene and Environmental Health

DOI

https://doi.org/10.1016/j.ijheh.2026.114893

お問い合わせ

国立大学法人 富山大学 エコチル調査富山ユニットセンター
センター長 吉岡 英治

  • TEL:076-434-7275
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