認知症高齢者を自宅で支える家族介護者の約4割に心身の不調
認知症高齢者に行動心理症状がある場合は、介護者が休める環境づくりを
―富山県認知症高齢者実態調査-
ポイント
- 認知症高齢者を自宅で介護する家族75人を対象に調査したところ、介護者の40.0%に身体的不調、37.3%に精神的不調がみられました。
- 身体的不調は、介護者の年齢が高いほど不調が多いという結果であったのに対して、精神的不調は、介護者の年齢と不調の関連はみられませんでした。
- 認知症高齢者に行動・心理症状(BPSD※1)が2つ以上ある場合は、0個の場合と比較して、介護者に精神的不調を有している割合が高い傾向がみられました。
- 代わりの介護者がいる人に比べて、いない人は、有意な差はみられなかったものの、身体的・精神的不調が多い傾向がありました。
- 高齢の介護者の身体的な健康状態に注意するとともに、BPSDのある認知症高齢者の介護者については精神的な健康状態にも留意し、代わりの介護者の確保含めた早期の相談や必要な支援につなげていくことが求められます。
概要
富山大学学術研究部医学系老年看護学講座の中堀伸枝准教授、疫学健康政策学講座の山田正明准教授、関根道和教授、立瀬剛志助教の研究グループは、認知症高齢者を自宅で支える家族介護者の身体的不調や精神的不調に関連する要因について、年齢、性別、認知症の病型、行動心理症状(BPSD)の数、代わりの介護者の有無、介護保険サービス利用の有無の観点から分析を行いました。
その結果、家族介護者の年齢が高いほど身体的不調が多い一方で、精神的不調と年齢との間に関連はみられませんでした。また、認知症高齢者に行動心理症状(BPSD)が2つ以上ある場合は、0個の場合と比べて、家族介護者の精神的不調が多い傾向がみられた一方で、行動心理症状の数と身体的不調とは関連しませんでした。また、代わりに介護をする家族がいない介護者は、いる介護者と比べ、身体的不調・精神的不調ともに多いことが分かりました。
研究成果は、国際誌JMA Journalに2026年9月15日(火)に掲載されました。

用語解説
※1)BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)
認知症になると、物忘れなどの「記憶の障害」だけでなく、周りの人との関わりや日常生活の中で困った行動(徘徊、暴言、昼夜逆転、不眠、等)や、つらい心理状態(不安、抑うつ、意欲低下)が現れることがあります。これらをまとめてBPSDと呼びます。
研究内容の詳細
認知症高齢者を自宅で支える家族介護者の約4割に心身の不調
認知症高齢者に行動心理症状がある場合は、介護者が休める環境づくりを
―富山県認知症高齢者実態調査-[PDF, 735KB]
論文情報
論文名
Factors Associated with the Health Status of Caregivers of Community-dwelling Older Adults with Dementia in Japan: The Toyama Dementia Survey
著者
Nobue Nakahori, Masaaki Yamada, Michikazu Sekine, Takashi Tatsuse
掲載誌
JMA Journal 2026;9(5):1142-1150.
DOI
https://doi.org/10.31662/jmaj.2025-0508
お問い合わせ
富山大学学術研究部医学系 老年看護学講座
准教授 中堀伸枝
- TEL/FAX:076-434-7443
富山大学学術研究部医学系 疫学・健康政策学講座
准教授 山田正明 教授 関根道和 助教 立瀬剛志
- TEL:076-434-7270
- FAX:076-434-5022

