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働かない寄生植物が、働き者へと変化!? – 新規モデル昆虫による“虫こぶ”形成で、寄生植物の光合成が活性化 –

国立大学法人富山大学 学術研究部 理学系の研究グループ [土`田 努 准教授(リーダー)、玉置 大介 助教、唐原 一郎 教授、若杉 達也 教授ら]は、マダラケシツブゾウムシを用いて実験室内で年間を通して「虫こぶ」を形成させる系を確立し、国立大学法人京都工芸繊維大学・半塲 祐子教授と共同で、本種による虫こぶ形成が完全寄生植物であるアメリカネナシカズラの光合成を活性化することを明らかにしました。

アメリカネナシカズラは、寄生した植物から栄養分を奪って成長するため、ほとんど光合成を行わない植物ですが、虫こぶ内では光合成活性が著しく増加して、ゾウムシ幼虫にとって“栄養豊富なシェルター”として機能していることが示されました。これにより、虫こぶ形成の生態的役割についての理解が進むとともに、光合成の活性化による植物バイオマスの増産等の技術開発に資することが期待されます。

この研究成果は 2021年6月21日(日本時間)に英国の学術誌 「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

(A)蔓性寄生植物アメリカネナシカズラに形成された虫こぶ(矢じりで示した箇所)
(B) マダラケシツブゾウムシ

プレスリリース[PDF, 1.02KB]